Dec10Mon

お主らの質疑に答えるのは今日が最後じゃ。

2018.09.29

【2018年10月10日追記】

2018年10月10日、新しいウェブサイト「Tarzan WEB(ターザン ウェブ)」がオープン! 今日トレでのコンテンツや雑誌『ターザン』からのコンテンツだけでなく、ウェブオリジナルの企画も発信しています。

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    お主らの質疑に答えるのはひとまず今日が最後じゃ。

    お主らが寄せてくれた質疑に答えよう。回答を待っていた者、すまぬな。また、質疑をくれたにもかかわらず、答えられなかったものも多数ある。重ねて申し訳ない。清水道場の質疑応答はとりあえず今日が最後じゃ。またどこかでお主らの質疑に答えることもあるかもしれぬ。その日まで鍛錬に励むのじゃ!


    shitsugioutou

    [質問1]

    毎週のように扱える重量が増える楽しさに魅了され、中2日程度(週2回)の頻度でデッドリフトを行っていました。しかし先日、90kg6レップス3セットの3セット目に腰を痛めてしまいました。主な原因はハムストリングの硬さ、フォーム、そしてトレーニング頻度のせいだと考えています。柔軟性とフォームを改善したとして、どれくらいの頻度でデッドリフトを行うべきでしょうか。デッドリフトのメニューは、ウォームアップ→max重量の測定→その80%くらいの重量で6レップス3セットです。ちなみに、大した怪我ではないと病院で言われました。
    本格的なウェイトトレーニング歴は1ヵ月ほどで部位ごとに日を変えて全身を鍛えております。ご回答よろしくお願いいたします。
    (サンディさん、男性、24歳)

    kao

    日々、筋トレの楽しさを味わっているのは良いことじゃ。しかし、その楽しみが長続きするよう、すこし、ワシの話に耳を傾けてくれ。

    お主の問題は、トレーニング頻度や重量設定の間違いではない。これはデッドリフトに限らず、全てのエクササイズに共通して言える。まず、適切なフォームが出来ていない状態で重量を増やしてはならぬ。違う言い方をすると重量を増やしたら怪我をしたという事は、お主のフォームが間違っていたということ。

    良いフォームとは高重量になっても変わらないフォームである。お主は高重量になった時にフォームが崩れたのであろう。

    例えばスクワット初心者でよく見かけるのが、自体重スクワットで両手を前に出してバランスを取りながら行うフォーム。このフォームだとバーベルを持った際、両手を前に出せず、バーベルを持つと自体重と同じフォームでは出来ぬ事になる。従って、両手を前に出すスクワットのフォームはその考え方自体が根本的に間違っておると言える。

    デッドリフトでは常に肩甲骨を寄せて、腰椎の前湾を保ち、骨盤を前傾させた状態から骨盤を立たせる動きをする必要がある。ハムストリングスが硬いと骨盤前傾が出来ぬため、適切なフォームがとれぬのじゃ。従って、ハムストリングスの柔軟性が低い状態では、デッドリフトをする資格がないとう言い方もできる。じゃが、そこで中断してはならぬ。低負荷でデッドリフトの動作を繰り返し、その動作の中でハムストリングスの柔軟性を高めて、より骨盤が前傾出来るようになったら負荷を増やしてみよ。

    次に頻度の問題である。適切なフォームで出来るなら毎日やっても問題ない。ただ、前日のトレーニングでターゲットの筋肉にそれ相当のダメージを与えたなら、通常は次の日には適切なフォームが出来なくなる。適切な頻度とは、適切なフォームと適切な負荷で出来る頻度ということ。

    仮に毎日できるという事は、おそらく前日のトレーニングが不十分だったといえよう。一般論として、デッドリフトの回復時間は72時間とされていて、中2日の休養が良いとされておる。自分のカラダによく聞いて調整せよ。


    [質問2]

    あるサイトに筋トレは2、3日置きにやると良いと書いてありました。しかしアスリートの皆さんは毎日筋トレをしているイメージがあります。自分は2、3か月ほどで程よい筋肉のついた体型になりたいと思い、2、3日置きに腹筋、背筋、スクワット、腕立て伏せをしているのですが、筋トレはどのくらいのペースでやるべきなのどしょうか?(R’sさん、男性、18歳)

    kao

    「アスリートが毎日トレーニングをしている」というイメージは間違いである。

    レベルの高い者は「休む日」を決めて、休む事も含めてトレーニングのスケジュールを決めておる。休む事で筋肉が発達するからじゃ。レベルの高い者は、今日は胸の日、今日は背中の日、今日は脚の日という具合で部位をローテーションさせ、毎日やっているように見えるだけである。同一部位のトレーニングは3日に1回程度じゃ。

    先の質問でも述べたが、一般論として極めてハードなトレーニングをすると通常は72時間、すなわち中2日程度の休養が必要になる。週に2回程度のトレーニング頻度が適切である。毎日やるなら、部位を分けて、各部位がそれぞれ週に2回程度になると良いとされておる。ただ、これは個人差があるので、週に3回やっても大丈夫ならやるがよい。

    ちなみに、レベルの高い者は、一定期間だけ毎日同一部位をトレーニングして、ボロボロになるまで追い込み、そのあと1週間以上休養するという極端な方法を取る者もいる。そういう情報は特殊な情報なので流されないようにするのじゃ。


    [質問3]

    テニスを始めて8年ほど経ちます。普段のレッスンや練習では問題なく、ラリーを行うことができるのですが、試合になると実力どころか、普段できていることすらできなくなります。週2回のテニススクールでのレッスン、ジムでランニングや筋トレの筋力、持久力アップのトレーニングを行っているため、体力不足等で動けなくなることはありません。しかしながら、いざ試合となると深呼吸や脱力などしてリラックスを試みるのですが、どうしてもカラダが固まってしまっているのか、いつもどおりの動きができません。試合など通常ではない場面でこのような状況を乗り越えるのはどうしたらいいのでしょうか。こちらで質問するべき内容ではないかもしれないのですが、いつも参考にさせていただいているので何かアドバイスをいただければと思い、質問させていただきました。(あすかさん、女性、35歳)

    kao

    参考になっているとのこと嬉しく思う。さて本題。実力とパフォーマンスは一致しないことが多い。

    実力とは「持っている能力」のことで、パフォーマンスとは「実際に発揮された能力」のこと。すなわち、試合当日に実力が発揮できないという事はパフォーマンスが低いといえる。

    パフォーマンスが低い原因として「パフォーマンス変数」というものがある。これは実力を発揮する事を邪魔する要因のことをいう。

    パフォーマンス変数には3つある。

    一つ目は「環境的要因」である。これは会場の問題や道具の問題のこと。

    いつもの練習と違う会場で試合をすると音の響き方、コートの質、照明の明るさ、風の具合などで感覚が変わる。また、もしもラケットやシューズが違うと足の感覚が変わり、いつも通りのパフォーマンスが発揮できなくなる。この解決策は、これらの全ての要因に慣れておくこと。すなわち、常に違う会場で練習し、いろいろな会場で試合をし、いろいろなラケットやシューズで練習することで、これらの要因に慣れておくということである。

    二つ目の要因が「肉体的要因」。これは疲労や病気や怪我などでパフォーマンスが変わってしまうこと。

    これらの解決策は、極めて疲労した状態で試合をし、どこかが痛い状態でも試合をし、少々高熱があっても試合するなどでその状態に慣れておくこと。事前に経験しておき、それに対応できるようにすることで試合で最高のパフォーマンスが発揮できるようになる。

    最後に「心理的要因」。これはいわゆる「あがり」のこと。

    その「あがり」をコントロールすることで解決できる。あがると筋肉が緊張するゆえ、動きたくても動けなくなる。この解決策も先述と同様、その状況に慣れる事が重要。テニスの練習で、この一本を絶対にミスしてはいけないという状況をいかに作って練習出来ているかで変わってくる。ここの工夫をして練習してみるのじゃ。

    そして「心理的要因」に影響することとして、「考え方」というものもある。これは「緊張のコントロール」であり、言い換えれば「どうしてこんなに緊張しているのか」という事が分析できているかということである。多くの場合、人が緊張するのは「他者からの評価」に気をとられ過ぎているからである。人の目が気になるから緊張する。実は、お主が思っているほど、人はあなたの事など気にしておらぬ。お主が勝手に相手の目を気にして緊張しているだけ。こう考えると、緊張する事がバカバカしく思えこぬか? お主は練習でやってきた通りのことをやれば良い。人の評価を気にする必要はないし、気にするほど人はお主を見ていない。

    ただし、人の目を気にしないために「負けても良い」と考えてはならぬ。あくまでスポーツは勝つための努力のもとに成り立っている。ここにこのショットを打ったら相手は返せないだろうな、という具合に、勝つためにやるべき事を楽しんでいる感覚が重要。お互いが練習してきた事を試し合うのが試合じゃ。お主の実力を思い切り発揮して、もしも負けたら相手が上だった、勝てたのなら私が上だったという感覚で、スポーツで勝つ努力を楽しんでみよ。


    監修/清水道場(IPF代表) 
    取材・文/井上健二 イラストレーション/more rock art all