Sep19Wed

一流のおぬしはどちらの「チェアホバー」を選ぶか?

2018.04.14

今日のお題AとBどちらの
「チェアホバー」を選ぶか?

筋肉を一つひとつ個々に鍛えて満足していてはせいぜい二流止まり。鍛えた筋肉を上手に連携させて「動き」を鍛錬できてこそ一流じゃ。通常の筋トレをそろそろ卒業したい塾生に、一流が選ぶトレーニングとは何か、その真実を伝授する。一流を目指すならAとB、どちらを選ぶべきか答えよ!


[A]

チェアホバー1
チェアホバー2

椅子2脚の座面を向かい合わせて並べ、その間に入る。両手を座面について肘を伸ばし、両膝を90度曲げて太腿が床と平行になるまで引き上げる。両膝を胸に近づけ、元に戻す。


[B]

チェアホバー3
チェアホバー4

椅子2脚の座面を向かい合わせて並べ、その間に入る。両手を座面について肘を伸ばし、両膝を90度曲げ、膝頭を床に向けて引き上げる。肩を下げて両手で座面を押し、両膝を後ろに振ってから胸に近づけ、同じように繰り返す。


[A or B?]

チェアホバーA
チェアホバーB

jukutoukaisetsu

一流が選ぶのは
「B」じゃ!

チェアホバーは体幹を安定させたまま、手足を動かす体幹トレーニングの一つ。両膝を引き上げる動作では、骨盤を後傾させる腹直筋、股関節を屈曲させるインナーマッスルの腸腰筋が鍛えられる。ただし「A」のフォームでは上半身の動きがまったく伴っておらぬ。肩をすくめるように肩甲骨が上がった状態なので、お腹から力が抜けて体幹と手足の連携がバラバラ。厳しい言い方をすると、体幹トレの体をなさない。こういうエクササイズを好むタイプは。腕立て伏せをするときも肩が上がり、お腹が落ちた三流のフォームになってしまっておる。

ディプレッション(Depression)とは「下制」という意味。肩と肩甲骨を下げ、僧帽筋下部と前鋸筋が力を発揮して両手で座面を強く押し込む動作を指す。ヒトが大きな力を出すときは、知らず知らず手足を動かす前に体幹を固める「フィード・フォワード制御」を行っておる。二流のトレーニングではお腹から力が抜けているので、フィード・フォワード制御が不発。「B」の一流のトレーニングでは体幹を安定させてから、両手で座面を押し、両膝を引き起こしているので、体幹と手足が見事に連携するフィード・フォワード制御が機能しているのだ。



shitsugioutou

[質問1]

テニスとカンフーを習っています。どちらも腰が回っていないと言われます。ラケットでヒットする時、クロスを打つとき、いずれも腰を回して力を伝える打ち方がスムーズにできるようにはどういうところにポイントを置いたらいいですか?(テルさん、男性、58歳)

kao

まず「腰を回す」という表現の整理が必要じゃ。

腰を回すというのは、骨盤を水平回転させるという事として話を進めよう。また、テニスで右打ちの人のフォアハンドストロークで、右を向いていた骨盤を正面に水平回転させる動きとして。カンフーならば、右の突き(クロス)の時に右を向いていた骨盤が正面に回転する動きとして以下を読んで欲しい。

この話には三つのポイントがある。

まず、一つ目のポイント。

上記の動きで「腰を回す」というのは、腰を回すのではなく、右足で前方に地面を蹴り、左足で後方に地面を蹴ること。半身の状態(正面に対して骨盤を右45度くらいに向けて立っている状態)から右足で正面方向に地面を蹴ると、右骨盤が前方に押し出される。そしてこの時、同時に左足で地面を後方に蹴ると、左骨盤が後方に押し出される。すると、右骨盤は前方に、左骨盤は後方に押され、骨盤が右から左に向かって回転する。すなわち、骨盤を回転させているのではなく、地面を蹴っているのじゃ! ここを意識して実際の動作をやってみよ。必ず今までよりシャープに回転する。

次に二つ目のポイント。

骨盤を回転させる事は重要じゃが、骨盤が「回転しっ放し」では強いインパクトは生まれない。右向き状態からから、左向きに回転してきた骨盤に急ブレーキをかける事で、骨盤の回転の動きが止まり、上半身だけが回転する形になる。これはエネルギー保存の法則の説明じゃ。

骨盤と上半身が一緒に回転してきたところで、骨盤だけをビシっと止めると、同じエネルギーなのに上半身だけが回転する。するとラケットも突きももっと強く打ち出される。すなわち、骨盤の回転を止める事でスイングも突きももっと強くなるのである。

骨盤を回転させる事と同じくらい骨盤の回転を止める事が重要で、骨盤の回転を止めるためには先程とは逆の力が必要。すなわち、右足は後方に骨盤を引くように引きつけ、左足は骨盤を前方に引っ張るように前方に引きつけるのである。

ポイント1とポイント2をまとめると、前方に蹴るトレーニングと後方に蹴るトレーニングが有効。ステップランジが良いじゃろう。前方に踏み込み、後方に踏み帰る動きである。

そして三つ目のポイント。

骨盤が回転する事でテニスのショットやカンフーの突きが繰り出されるのだが、これらはあくまでも骨盤の回転にブレーキをかける事で作り出されるエネルギー。ラケットも突きも「手で打つ」という感覚を無くす事が重要じゃ。手は、骨盤の回転から作られたエネルギーが伝わっていく終着点であり、決して手で打たない事が重要。上半身は力を抜き、骨盤の回転とブレーキで作られたエネルギーが、綺麗に伝わっていくという感覚でやってみよ。力を抜けば抜くほど、ラケットも突きも走るぞ。

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監修/清水道場(IPF代表) 
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 イラストレーション/more rock art all