Nov23Thu

Audi A3 Sportback e-tron [アウディ A3 スポーツバック e-トロン]

2016.09.04

走る歓びでアピールするプラグイン・ハイブリッドカー。


取材・文/石井昌道:雑誌編集経験のあるモータージャーナリスト。
撮影/小川朋央:自然を愛する、のんびり、ときどき突撃型カメラマン。
本誌クルマ担当/ワタベ:帰ってきた旧担当。車の好みは味のある軽自動車。

ワタベ:今回は群馬県嬬恋村にやってきました!
小川:すごい。これ全部キャベツ!? 一面の緑の中に赤いA3 e-tronが映えて、いい絵だな。
石井:昔っからキャベツ産地として有名だよね。子供の頃、豊作になりすぎて産地廃棄するためトラクターでキャベツを踏みつぶしているニュースを見て、その意味がわからなくてショックだったな。
ワタベ:もったいない! 最近はそんなことはないんですよね。今日はせっかく農産地に足を踏み入れるために排気ガスを出さないでも走れるというPHEV(プラグイン・ハイブリッドカー)に乗ってきてエネルギーを効率良く使うことも考えてますから、作物の廃棄なんてことが起きないようにしてもらいたいもんです。
石井:いろいろアイデアはあるけれど産地廃棄に代わる有力な案が出ていないみたいね。

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小川:ワタベくんもそんなこと言っててずいぶんと元気よくクルマを走らせてたじゃない。
ワタベ:いや実は、今まで乗ったどのクルマよりも楽しかったんですよ。エコカーだから大したことなさそうなんて思ってたのが大間違いでして。
石井:A3には1.4L直噴ターボエンジンのモデルがあるけれど、A3 e-tronはそれにモーターを追加したカタチだからね。しかもPHEVはEV走行モード(モーターだけで走る)があるから、モーター自体も強力なんだ。
ワタベ:はい。加速がスムーズで頼もしいということも想像以上に良かったのですが、それよりも印象深かったのがハンドリングなんです。今日はクネクネの峠道をたくさん走りましたけど、これが本当に楽しく走れました。いったいどういうわけなんでしょう?
石井:A3 e-tronは家庭のコンセントなどで充電しておけば50kmはEV走行できる(カタログ値)。そのため一般的なハイブリッドカーに比べれば大きなバッテリーを搭載しているため重くなるのだけれど、これがハンドリングにいい影響をもたらしてるんだね。
小川:重いと良くなるっていうのはイメージと逆ですね。
石井:普通は軽い方がいいよね。でもA3はもとのボディなどがしっかりできてて重量増でも問題がないし、バッテリーは後部座席下に収まっている。重心が低くなるし、前後重量配分も良くて、ハンドリングで有利なんだ。
ワタベ:低重心というのはわかる気がします。コーナーでもグラグラしないで安心できましたから。
小川:ハイブリッドカーって燃費はいいけれど運転してもあまり面白いものではないと思ってました。それだけに意外でしたね。
石井:たしかに日本のハイブリッドカーは面白みは薄いよね。でもそれじゃ欧州では売りにくい。だからアウディは、ちょっと高価になってもハイブリッド化、電気モーターの新鮮な走りなどが表現しやすいPHEVに力を入れているんだと思う。モーターもバッテリーも大きいから、電気感を出しやすく、クルマの新しい使い方の提案も多彩になるからね。


Q 4つも走行モードがあるのはなぜですか?

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バッテリーの電気だけで走行する「EVモード」、ガソリンとモーターを適宜使い分けて走る通常の「Hybrid Auto」、バッテリー残量を維持するためにエンジン主体で走る「Hybrid Hold」、バッテリーを充電するために積極的にエンジンを使う「Hybrid Charge」のモードがあります。EVモードは使いたいシーンというのがあるはずです。例えば今回のようにキャベツ畑を訪れるときは、できればエンジンをかけないで排ガスフリーのEV走行をしたいですよね。そんなときは、目的地に着くまでにバッテリー残量を調整してやることが、ホールドやチャージで可能となるわけ。一般的なハイブリッドカーではできないことで新しい価値です。

Q 家のコンセントでも充電できますか? それとも工事が必要?

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フロントグリルの4シルバーリングス(アウディのマーク)をずらすと充電ポートが現れます。ここに付属のコードを繫げば100V電源、200V電源で充電が可能。100Vは一般的な家庭用コンセントですが、空っぽから満充電までは9時間かかります。200Vなら3時間。ほとんどの家は200Vの電源が引き込まれているので、数万円レベルの簡単な工事でコンセントを設置できます。ただし、綺麗に配線したり分電盤を替えた方が好ましい場合が多く、10万円台後半ぐらいになるようですね。これから新築する人は200Vコンセントを用意しておくのがオススメ。出先の200V充電器は使えますが、急速充電器には対応していません。


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Audi A3 Sportback e-tron

日本メーカーに比べるとハイブリッド化に消極的だった欧州メーカーだが、最近ではプラグインタイプが増殖中。エコカーながら肉食系の走りが魅力だ。その背景には、欧州のCO₂排出量規制で優遇されるという裏事情もある。

●全長4,330×全幅1,785×全高1,465mm●エンジン=1,394cc、直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ●変速機+駆動方式=6速Sトロニックトランスミッション+FF●燃費=23.3km/L(JC08モード、ハイブリッド燃費)●乗車定員=5名●カラー=8色●車両本体価格=5,222,223円●問アウディ(TEL)0120・598106

〈Tarzan No. 702掲載〉
取材・文/石井昌道 撮影/小川朋央