Nov23Thu

3つのキーワードでよく分かる、最新コミュニケーションスキル。

2016.09.09

KEY WORD 1【 アサーション 】

攻撃的でもダメ、受け身でもダメ、中庸をとればみんながハッピー。

最近、心理学の世界で注目されているコミュニケーションスキル、それがアサーションだ。
コミュニケーションが得意です、という人は大方、自分が言いたいことを伝えることを得意としている。みんなの気持ちはお構いなし、会議でもどんどん発言して自分の意見をねじ込む、どちらかというとアグレッシブなコミュニケーションを好む人だ。一方で、周囲の意見を聞くばかりで自分の意見を言えない人がいる。全然納得していないのに相手の意見を受け入れてしまう、こちらは日本人に多いパッシブなコミュニケーション。
現代社会では、このどちらもがよろしくないとされていて、中庸をとるアサーションが大事と考えられている。上からものを言うのではなく、下手にただ受け入れるのでもなく、相手に提案をする形で意見を伝え、自分も周囲も悪い気持ちにならない。みんながウィンウィンになるコミュニケーションスキルがアサーションなのだ。
このスキル、実は農業や漁業といった職人気質の職場では必要性があまりないものだった。経験が長い人の言うことがほぼ正しかったからだ。ところが現代、たとえばITの世界では年上の上司よりずっと年下のSEの方が優秀というケースが珍しくない。そこで注目されてきたのが上下関係という枠を外して、みんなが不快なくウィンウィンの関係になれるコミュテクだ。
下の2つのケーススタディでアサーションの具体例を紹介しよう。エッセンスを身につけて早速明日から役立ててほしい。


CASE STUDY 1 レストランで、頼んだものと違う料理が出てきた!

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A:まあいいかと思って黙って食べる。
B:「注文と違うじゃないか!」と怒鳴って突っ返す。
C:「すみません。注文と違うようなのですが、作り直してもらえますか?」と頼む。

相手に疑問を投げて「やらされた感」をぐっと軽減。
フレンチレストランでラーメンが出てきたらびっくりだが、定食屋でサンマの塩焼き定食を頼んでサバの塩焼きが出てきたら、Aの「まあいいか」で済ませてしまう人、意外と少なくない。しかしこれは、パッシブなコミュニケーション。
一方、Bの「怒鳴って突っ返す」はアグレッシブすぎて、本人はもちろんのこと、店側も周囲の客も嫌な気分になってしまう。
というわけでアサーティブな答えはC。実質的に相手に選択権はないが、「作り直してもらえますか?」のひと言で、相手は能動的に作り直す選択をしたことになる。自分も相手も周囲の客も嫌な気分にならない。これぞ、ウィンウィンの関係だ。


CASE STUDY 2 帰り際に上司からひと言。「これ、明日までにやっといて」

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A:「何で今? できるわけないじゃないですか」
B:「分かりました、仕上げておきます。でももう少し早めに言ってもらえると、精度の高い資料ができると思います。次からは早めの指示お願いできますか?」
C:「ハイ、分かりました」

突っぱねるでもなく、服従するでもなく、あくまで提案する。
今のご時世、肩書き的な上下関係は存在していても、互いに「それやれ」「あれやれ」と一方的に指示する時代ではない。とは言いつつも、サラリーマンとしては、振られた仕事を受けないという選択肢はありえない。
つまり、Aの答えはサラリーマン的には論外。かといってCのようなパッシブな受け答えは、その後の上司との関係に遺恨を残す。納得いかないまま受け入れるだけの姿勢は長続きしない。いつか必ずキレるときが来る。
Bのように、仕事は引き受けるにしても、次からはこうしてもらえないか? と提案して締めくくるのが正しいアサーション。


KEY WORD 2【 7対3の法則 】

聞きすぎは無関心、話しすぎは説教ととられる。7:3の法則で会話を進行しよう。
聞きすぎは無関心、話しすぎは説教ととられる。7:3の法則で会話を進行しよう。

7割聞き手にまわり、3割話す。この会話の黄金率で信頼を築く。

「髪の毛切った?」のひと言がセクハラになりかねない時代。相手に嬉しいととられるか、キモいととられるかは、日頃の相手との関係性次第。
信頼関係が築けていれば、ほとんどのハラスメント問題は生じない。それがなければ何を言っても相手はいじめを受けたと解釈する。
では、盤石の信頼関係を築くためにはどうするか? これは普段から相手の話をよく聞くしかない。
話し手と聞き手の黄金率というものがある。発言の比率が話し手が7に対して聞き手は3。この比率で会話をすると、話し手は自分の話をちゃんと聞いてもらっていると感じるのだ。
聞き手の発言が3割を切ると「聞いてんの?」と思われ、3割を超すと「説教されてる」感じが生じるのだという。
つまり、信頼関係を得たい相手がいたら、7割は聞き手に徹し、ときたま意見を言って3割話すという具合。
実を言うとコミュニケーションとは自分から「話す」ことではない。相手の言っていることを「聞く」ことが非常に重要なのだ。心の中のモヤモヤを聞いてくれる人ほど信頼に値するものはない。これで各種ハラスメントともサヨナラできるだろう。


KEY WORD 3【 サンドイッチ叱り 】

感謝の言葉や褒め言葉というパンで、叱りの具をやさしく挟めば、おいしくいただける。
感謝の言葉や褒め言葉というパンで、叱りの具をやさしく挟めば、おいしくいただける。

叱ることほど難しいものはない。これぞコミュ脳の最大の課題。

今の若者は叱られ下手だとよく言われる。でもそれも仕方がない。生まれてこのかた叱られたことがほとんどないからだ。なので、叱る方も創意工夫が必要。これもコミュニケーション脳を磨く大事な要素だ。
まず、いきなりドカンと叱らない。小さなことでもいいからちょいちょい叱りのジャブを入れて相手に免疫をつけさせておく。次に抽象的な叱り方はしない。「全然ダメ」というフレーズは禁句。この部分がこういう理由でよくないと具体的に叱ることが重要。
さらに叱るときに「WHY」は使わない。「なんでこんなことしたんだ?」と叱っても、相手はその理由を答えられないからだ。「HOW」を使って「次に同じことが起こったらどうするか?」と将来につながる叱り方をする。
そして、最も重要なのはサンドイッチで叱ること。
パンは褒め言葉、具は叱り。最初と最後の褒め言葉でメインの叱りを挟み込むのだ。
「いつも頑張ってくれてるね」
「でもこの企画は残念だった」
「期待してるから言うんだよ」
これでサンドイッチの出来上がり。叱られた方も悪い気にはならないし、メインのお叱り部分も客観的に頭に入る。双方満足満腹。


Tarzan No. 703 実は、アタマに良いコト、悪いコト 掲載 〉
取材・文/石飛カノ イラストレーション/岡田 丈(vision track) 監修/吉野 聡(精神科産業医、新宿ゲートウェイクリニック院長)