Aug15Wed

ランナーの悩み解決の鍵はプールにありました。

2018.07.27

膝が痛い? 記録が頭打ち? そんなランナーの悩みにスイマーが答えます。そう、ランとスイムは補い合うのです。


RUNNER1

ランナー「走りすぎで膝が痛くなっちゃった」

SWIMMER1

スイマー「プールは故障のリハビリに最適さ」

ランナーは走るのが大好きで、ついつい走りすぎに陥りがち。中堅市民ランナーの大多数は膝などに何らかの故障を抱えており、月間走行距離が200kmを超えるあたりから、その割合は高くなるとされる。

故障後は練習量を抑えて痛みや違和感がなくなるまでまずは休息。痛みや違和感がなくなり、整形外科的な異変がなくなってリハビリ期に入ったら、練習を再開する前に試したいのは水泳か水中ウォーキング。水中なら浮力で体重の重みから解放されるため、痛みなく関節が動かせる。

「空気の43倍の粘性係数を持つ水のじわじわとした負荷を膝などの関節周辺の筋肉にかけて強化すると、リハビリにつながります」(追手門学院大学教授で日本水泳連盟科学委員長の松井健先生)。

ちなみに時速60kmで疾走する競走馬も怪我を負いやすいが、レース復帰の前にプールやウォータートレッドミルで水の力を用いたリハビリを行うのが主流になっている。



RUNNER2

ランナー「いくら走っても上半身は貧弱で……」

SWIMMER2

スイマー「水泳をプラスすると逆三体型になれるよ」

ランは全身運動だとされるが、実際もっぱら働いているのは下半身。とくに太腿の大腿四頭筋やハムストリングス、お尻の大臀筋といった筋肉が鍛えられる。軽めの自体重が負荷なので、太腿もお尻も無闇に太くデカくなるのではなく、無駄な脂肪が削げ落ちてカッコよく引き締まる。一方、上半身の筋肉は腕振り程度であまり使わないので、だんだん削げ落ちて細くなってくる。

ランと対照的なのが水泳だ。水泳の推進パワーの大半を生むのはストロークであり、ストロークで駆使される胸の大胸筋や背中の広背筋、肩の三角筋や腕の上腕三頭筋といった上半身の筋肉が逞しく肥大。習慣にすると逆三体型のスイマーボディに近づく。

ランで下半身を引き締め、水泳で上半身を逆三体型にデザインしてやると、まさに鬼に金棒。ジムで筋トレに励まなくても、全身がバランスよく発達した細マッチョになれる。



RUNNER3

ランナー「最近、自己ベスト更新が滞りぎみ(泣)」

SWIMMER3

スイマー「泳ぐと呼吸筋が鍛えられて走力が上がるかも。」

水中ではカラダにつねに水圧が加わっている。泳ぎながら水圧に耐えて呼吸すると、呼吸筋の鍛錬作用がある。

呼吸筋とは呼吸を助ける筋肉。メインは肋骨の間に付く肋間筋で、外側の外肋間筋と内側の内肋間筋がある。外肋間筋が収縮すると肋骨が持ち上がり、肺を収める鳥カゴのようなフレームである胸郭が広がる。すると肺が広がり、体内の気圧が下がって空気が入る。続けて内肋間筋が収縮すると肋骨が下がり、胸郭が狭くなって肺が縮み、逆に気圧が上がって空気が出ていく。

「水圧のプレッシャーに耐えながら肋間筋を使っていると、水圧が抵抗となり、外肋間筋も内肋間筋も鍛えられます」。結果、息を吸うときは胸郭が広がりやすくなり、吐くときは胸郭が狭くなりやすいので、肺の換気機能がアップ。換気機能が高まると走るときも呼吸がラクになり、ペースを上げやすい。自己ベスト更新を狙うランナーは合間を見てスイミングに挑んでみよう。


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Tarzan No. 746 もう一度、泳いでみよう。 掲載 〉
取材・文/井上健二 イラストレーション/船津真琴 取材協力/松井 健(追手門学院大学社会学部教授、日本水泳連盟科学委員長)