Jun25Mon

それは、インナーマッスル不足です。

2018.03.09

電車で目の前に坐っている女性の脚が微妙に開いていると、つい目が行ってしまう。
そんなあなたもさっき駅の長い階段を上り切ったら、肩で息をしていたのでは?
段差で躓く、お腹ポッコリ、肩が凝る……見渡せばインナーマッスル不足の人だらけ!


1|つり革に肩ごと掴まる。

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加齢で腕が上がりにくくなるのは、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)。関節や腱の老化で起こる。でも、40代未満で腕が上がりにくく、つり革を持つと肩が一緒に上がるのは、たぶんインナーマッスル不足。
腕の付け根は肩甲骨。上腕と肩甲骨には、肩甲上腕リズムがあり、腕と肩甲骨は2:1の割合で動く。腕を肩甲骨に押し込んで安定させるインナーであるローテーターカフ(回旋筋腱板)の筋肉群がうまく働かないと、肩甲上腕リズムが崩れて腕が上がりにくくなるのだ。


2|パソコンを使っていると肩や首が凝る。

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じっと坐ってパソコンを長時間使っていると、知らない間に前屈みになりがち。肩関節まわりローテーターカフの筋肉群、肩甲骨につく菱形筋といったインナーが非力だと、肩が前に出て肩甲骨が脊柱から離れる外転を起こし、猫背に。さらに頭が前に出ると首の頸骨のカーブがフラットに近づくストレートネック気味になり、頸椎を曲げる頸長筋頭長筋といったインナーが弱くなる。すると肩や首の筋肉が緊張して血行が悪化し、凝りや痛みが生じるのだ。


3|ボールを投げるときに手投げになる。

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野球やテニスのようなボールゲームでタブー視されるのは手投げ・手打ち。腕だけの動きだとパワーが格段に落ちるからだ。
手足のような末端に大きな力を伝えるには、体幹を安定させて手足をムチのようにしなやかに動かすべき。そのために大切なのは、腹腔を作る腹横筋多裂筋といったインナーマッスル(インナーユニット)だ。インナーユニットが弱いとお腹から力が抜けて土台が崩れて、手投げ・手打ちになる。


4|ちょっとした段差で躓いてしまう。

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大して落差のない歩道の縁石などで躓いてしまうのは、思ったほど脚が上げられていないから。
脚の付け根は股関節。骨盤の両サイドにある凹みに、脚の大腿骨の丸みを帯びた先端がハマり込んでいる。脚が上がらないのは股関節を曲げる腸腰筋というインナーマッスルが衰えている証拠だ。
インナーには細くて短い筋肉が多いが、腸腰筋は例外中の例外。脊柱と骨盤、大腿骨をつなぐ太く長い筋肉だ。ゆえに鍛えると代謝がアップ。痩せ体質に近づける。


5|歯磨きをしているとお腹がポッコリ出てくる。

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下腹のポッコリがなかなか凹まない理由は食べすぎだけではない。一因はインナーにもありそう。
腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群といった腹腔のインナーユニットは、腹部をコルセットのごとく締めて体幹を安定させる。これらのインナーが弱くて腹圧が下がると内臓の重みを支え切れなくなり、下腹が出てくる。同時に骨盤が後傾して腰椎のカーブもキツくなり、腰部の筋肉の負担が増大。長時間立ちっぱなしでいると、腰も痛くなって踏んだり蹴ったり。


6|階段を上り切ったら肩で息をする。

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インナーは呼吸にも深く関わる。息を吸うときは胸郭の底にある横隔膜が下がり、外肋間筋が縮んで肋骨が上がり、胸郭と肺のスペースが広がる。息を吐くときは横隔膜が上がり、内肋間筋が縮んで肋骨が下がり、胸郭と肺のスペースが狭くなるのだ。これらのインナーが鈍ってちゃんと作動しないと、階段を上るときのように酸素の要求度が高まると立ち往生。僧帽筋や胸鎖乳突筋といったアウターが助け舟を出して無理やり胸郭を動かし、肩で息をするようになる。

日常の何気ない動作も、実はインナーマッスル不足が原因かも? 続きは『Tarzan』737号でチェック!


Tarzan No. 737 インナーマッスルの全て 掲載 〉
取材・文/井上健二 イラストレーション/宮田 翔 取材協力/福井 勉(文京学院大学教授、医学博士)