Feb20Tue

脳科学者・茂木健一郎さん「ランニングは脳にとって、最高のごちそうなんです。」

2018.02.11

DMNが活性化。脳内の情報が整理できる。

子どもの頃から走ることを無条件に好み、現在も毎日のランニングを習慣にしている茂木先生。

「一番伝えたいのは、ランニングは仕事の生産性を上げたり、人生を豊かにするライフハックだということ。たとえ近所のコンビニまでだろうと、走った方が走らないより健康や脳への効果が望めます」

茂木さん1

なかでも、脳科学者として注目しているのがDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という脳内ネットワーク。これは脳の複数の領域で構成されていて、何もしていない状態のときに活動する回路。

「現代人はずっとスマホやパソコンで情報のやりとりをしていますが、走っている間にそれらから解放されて脳がアイドリング状態になり、DMNが活動し始めます。DMNの役割のひとつは情報の整理、もうひとつが感情の整理です」

情報の整理は閃きや新たな発想、仕事の重要な決断に繋がり、感情の整理はストレス解消に繋がる。DMNはマインドフルネスなど瞑想時の状態の脳のイメージング画像で確認された回路。ランニング時に画像確認はさすがにできないが、

「経験則的に脳がかなりその状態に近いと推測できます。SNSで炎上しても僕がへこたれないのはランニングによるDMNのおかげです」

街走りでは場所細胞が鍛錬される。

走れる日は10kmランを目安にしている茂木先生。コースは公園や土手といった固定ルートではなく、もっぱら街中。

「毎回、違うルートを走ると決めているんですけど、未だに街の探検が終わりません。すごく素敵なコーヒー屋さんがあったりピザ屋さんがあったり、レアなところでは箒の専門店があったり。走っているとそういう情報をくまなくスキャンできるんです。家や仕事場のあるあたりや沿線に関しては、僕は不動産屋より詳しいと思います」

茂木さん2

新たな発見を楽しめるだけではない。知らない道を走り、迷うことも脳にとってのごちそうだという。

「海馬や頭頂葉にはプレイスニューロン、日本語でいうと場所細胞があります。脳の中のGPSみたいなものですね。今、自分がどこにいるのか分からなくなると、脳は回路をフル回転させていろいろ探ります。このとき、場所細胞がかなり鍛えられていると思います。だから敢えて迷う状態に自分を持っていく。それが脳にとっては最高のごちそう。方向音痴の方にはおすすめですよ」

スマホのランニングアプリはいざというときの保険。常時チェックしながら走るのではなく、いま自分は迷っているのだという失見当識状況を楽しもう。

(インタビュー全文は、Tarzan735号で読めます)


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ランニング用パスモ
コンビニでトイレを借りるとき、何も買わないと申し訳ない気持ちに。でも、お釣りをチャラチャラさせるのが嫌なのでランニング用パスモでお買い物。

茂木健一郎さん
脳科学者。理学博士。ランニングの最初の記憶は5歳のときの昆虫採集。以来、旅先でも日常でも走り続けるが、2005年から多忙によりランを中断。体調を崩したのをきっかけに2010年から再び走り始め、現在に至る。

Tarzan735号では茂木先生がランナーズハイや、ランの認知症予防効果も解説しています!


Tarzan No. 735 RUNがカラダに効く10の理由。 掲載 〉
取材・文/石飛カノ 撮影/谷 尚樹