May26Sat

「腹が減った…」の正体。

2017.10.31

現役時代、最大150kgにも達した直江氏は、食べるプロ。そんな彼が現役を退き、食欲に振り回されずにダイエットに成功できたのはなぜなのだろうか?

男はこの街で料理店を静かに営む。183cmの長身はキレがよく、少し緩くなったスーツの隙間を、風が抜けていく。とても元関取には見えない。直江俊司氏、皇風関は引退後、すみやかに60kg余りの減量を敢行し(2017年9月末現在)、さらなる高みを目指し、カラダを磨き続けている。

「たまに角界のOB連と顔を合わせることもありますが、みんなあんまり痩せないですね。引退したんだから、もうそんなに大きなカラダは必要ないのに。いまはジムに週2で行きますが、筋力を落とさないようにしているだけ。運動量よりも、食事に注意することで減量しています」

皇風俊司
皇風俊司
●きみかぜ・としじ 1986年東京都調布市出身。早稲田大学2年で東日本学生相撲選手権団体3位。同大卒3人目として尾車部屋へ。2011年7月場所で全勝幕下優勝し、関取昇進。12年3月場所十両優勝、5月場所で新入幕。14年引退。

角界入り当時の体重は125kgほど。最高で150kgまで増量したが、太るのも決して楽な道ではなかった。

「食べても太りにくい体質ですし、新入りのころは午前の稽古がきつすぎて、食事が喉を通らなくなることが多かったんです。頑張って食べているつもりでも、痩せていたときがままありました」

疲労も和らいだ後の夕食ではしっかり摂るよう心がけた。料理長が作るボリュームたっぷりのメニューがずらりと卓を埋め尽くす光景は、

「普通の人からしたら毎日ちょっとしたバイキング会場でしたよ」

だが、出された物をそのまま食べるのではない。早稲田時代に学んだスポーツ科学の知識から、当時の力士としては珍しく糖質を制限し、タンパク質を中心に摂る。

「それでも足りないぐらい日々の稽古、試合で筋肉が壊れてしまうので、1日5回プロテインも摂るようにしていました」

皇風俊司

〈before〉150kg

(体脂肪率:平均25%)

「店主が制止したのに、茹で上げ後8kgぐらいのつけ麺をぺろりと、おいしくいただきました。麺は大好き!」

「寿司は貫でいったら100貫とかは余裕でしたね。たった50皿でしょ? それは全然普通でしたね」

皇風俊司

〈after〉86kg

「朝はサラダとか、おひたしとか、野菜中心です。糖質はなし。昼はごく普通の食事を。たまに麺です」

「夜は自分の店でまかないのちゃんこです。野菜と肉のバランスがとれていて、内臓も温まりますよ!」

いまは年内にあと6kg絞る予定だが、これは簡単だろうと踏んでいる。

「酒が一番太ると思うので、これは控えています。特に空腹感に苦しんだりはしていません。食べたい物が3つあったら、一番やめやすい物を1つやめればいいんです」

酒をやめたら反動なのか、いっとき甘い物が妙に恋しくなったが、風呂上がりのアイスクリームはきっぱり封印。口寂しいときには片手のひらに乗る程度の量のアーモンドで心を満たす。

「減量に時間制限を設定するのは大事です。勝負の世界では常に結果を求められましたし、入門したら3年以内に関取にと決めていました。長くはない現役生活でしたが、決めたことをやり抜いたり、やれば結果が出ることも分かりました。皆さんも一度成功体験をすれば、カラダづくりはもっと楽しくなると思いますよ」


《相撲めし 皇風ノ店》
《相撲めし 皇風ノ店》
《相撲めし 皇風ノ店》
料理長・畑翔大さん(左)が腕を振るう各種ちゃんこは1,980円〜、お得な鍋コースは4,000円(3名から)。カード不可。(営)火〜土17:00〜24:00、日祝17:00〜23:00。月曜定休(月曜が祝日の場合は営業、翌日休)。東京都調布市布田1-26-12 ダイアパレス調布1階、(TEL)050・5571・9248。

『Tarzan』729号ではさらに空腹感の正体に迫る!


Tarzan No. 729 ボリュメトリクス 掲載 〉
取材・文/廣松正浩 撮影/大嶋千尋