Jun25Mon

大谷翔平バンキシャ日記 in USA青から赤へ、16番から17番へ。エンゼルス広報の不思議な縁。

2018.05.27

今年のメジャーリーグ最大の注目は何と言ってもエンゼルスの大谷翔平投手(23)。本欄では不定期連載で、その大谷を取り巻く周辺環境の今を番記者がお届けする。第1回目は広報のグレース・マクナミーさん(45)。流暢な日本語を操り、「グレースさん」の呼び名で大谷と日本メディアの架け橋になっている。

日本人の両親を持つグレースさんは、米国生まれ米国育ち。カリフォルニア大アーバイン校を経て95〜99年にドジャースに広報として在籍。主に野茂英雄(49、現パドレス球団アドバイザー)を担当した。当時も31年ぶり2人目の日本人メジャーリーガーを追いかける日本メディアの対応に奔走し、「メディアの人はどういう取材の仕方をしたらいいか分からなかったし、私たちも対応の仕方が分からなかったです」。今では携帯電話ですぐに伝達できるようなことも、口頭で伝えなければならなかった。

その後、転職、結婚を経て2人の娘を授かり専業主婦として過ごした。転機は昨年12月。大谷のエ軍入団が決まり、米球界関係者を通じて「もし必要であれば働けます」とエ軍に声をかけたところ、すぐに採用が決まった。現在は主に試合後の大谷の会見のフォロー、試合前後のマイク・ソーシア監督(59)の会見の翻訳を請け負う。アリゾナ州テンピでのスプリングトレーニング中は大谷の練習メニューの伝達、会見場所の設定などに追われ、日米メディアだけでなく、時には韓国、台湾から来た報道陣に対応することもあった。

スプリングトレーニング中の会見の様子
スプリングトレーニング中の会見に臨む(左から)大谷と水原通訳、広報のグレース、広報部長のティム。

自宅は本拠エンゼルスタジアム近郊にあり、そのスプリングトレーニング中は2か月近く家族と離れた。「(広報部長の)ティムと(今回の採用について)話した時に“長い滞在になるから、一回家族で話した方がいい”と言ってもらいました。そういうのが家族的な雰囲気だなと感じました」。大谷はキャンプ初日の会見で入団の決め手について「フィーリングが合ったというのが一番」と語ったが、グレースさんの入団もこの家族的な雰囲気が決め手だった。

グレースさんは「青から赤へ、16番から17番へ。何か不思議ですよね」と笑う。全米を席巻したトルネード投法から、ベーブ・ルースの再来と言われる二刀流へ。2人のパイオニアの広報担当が同じグレースさんであることは何とも不思議な縁である。


●やなぎはら・なおゆき 兵庫県出身の32歳。3年半の銀行勤めを経て、12年スポーツニッポン新聞社入社。今年から大リーグ担当。


Tarzan No. 741 GOOD PERFORMANCE BODY 掲載 〉
取材・文/柳原直之