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2020年東京パラリンピックのホープ けっぱれ!! 吉田くん

2017.12.21

2020東京パラリンピック開催が決定して3年。パラスポーツ選手の育成が急ピッチで進んでいる。さまざまな競技で新たなアスリートの卵(いや、もうひよこ以上)が出現している。パラ陸上競技の吉田(知樹)くんも、その一人。

吉田知樹くん
吉田知樹くん
●よしだ・かずしげ 2000年8月28日、青森県生まれ。生まれつき右足が短く中学2年で義足装着のため膝から切断。東京パラリンピックのメダルを目指す。178cm、81kg。

現在、青森工業高2年。高校進学後に本格的に陸上競技を始めた。1年前ドイツの世界的義肢装具メーカー〈オットーボック〉が主催するランニングクリニックに初めて参加。リオデジャネイロ・パラリンピックのメダリストたちから指導を受けた。17年6月には日本選手権に初出場し100m14秒69の自己ベストをマーク。1か月後には14秒58で記録を更新した。

11月、トップアスリートを目指す選手のためのアドバンスクリニックが開催され、再び参加。
「去年はまだ競技用義足で走ることに慣れるだけで精一杯でしたが、今年はより速く走るためのトレーニング方法を学びました」

アドバンスクリニック1
リオパラの金メダリスト、ハインリッヒ・ポポフ(ドイツ=写真中央)と山本篤選手(右)の2人から、義足での正しいポジションチェックについての指導を受ける。
アドバンスクリニック2
大腿義足のメダリスト山本篤は、ポポフ同様クリニックのメインコーチ。「タオルが左右に揺れたら体がブレてる証拠。しっかり踏み込め」と叱咤激励。

後ろ向きで全力疾走するなど義足での体の使い方や確認方法は、コーチが義足のスペシャリストだからこそ学べる内容だ。徐々に間隔が変化するマーカー練習といった陸上競技としての練習も充実する。後半には、吉田くん自らクラウチングスタートの飛び出し方を質問しメダリストのテクニックを貪欲に吸収していた。

アドバンスクリニック3
コーチとして来日したドイツの20歳レオン・シェーファーは2017年の世界選手権のメダリスト。スキップやサイドステップなどのトレーニングを吉田くんに指導。
アドバンスクリニック4
サッカーなど義足の人が普段あまり経験しないスポーツを取り入れるのもクリニックの特徴。瞬時にボールに反応することで義足での方向転換やダッシュをマスターする。

高校の陸上部に所属しているが、義足選手は吉田くんだけ。つまり義足での練習には、一人黙々と取り組まなくてはいけない。さらに雪の多い青森市内では冬季にトラック練習することが難しい。屋内でもできるクリニックでのトレーニング経験を、青森に戻ってからどれだけ生かして練習に取り組むか。それが、今後の成長に直結する。

「去年のクリニックに初参加してから、お菓子と甘い炭酸飲料などは摂らなくなりましたね」とは、同行した父・晃則さんの言葉。1年で無駄な脂肪を6kg落としたという。
「100mで13秒台、それから走り幅跳びにも挑戦したいっす!」
と力強く語る。目標に向かって、けっぱれ(頑張れ)、吉田くん!


Tarzan No.732 下半身テッパン筋トレ50 掲載 〉
取材・文/宮崎恵理 撮影/吉村もと