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『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』マクドナルドさん、Are you lovin’ it?

2017.07.28

チータ:今回は『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』。マクドナルドの創業秘話を描いた映画です。

ジェーン:タイトルだけ聞くとドキュメンタリー映画かと思ったけど、マイケル・キートンがマクドナルドの創業者レイ・クロックを演じる伝記映画なのね。知ってるようで知らなかったマクドナルドの話。

チータ:おなじみのマークはマクドナルドの「M」を表してるわけじゃなくて、店舗のシンボルになっていた「ゴールデンアーチ」をデザインしたものなんですよ……みたいなウンチクはテレビの情報バラエティなんかでよくやってるから知ってたけど、どんなふうに巨大チェーン化していったのかという話は知りませんでした。

ターザン:ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースが世界で初めてフランチャイズ方式のチェーン・ビジネスを始めたという話はよく語られるんだけどね。

チータ:直営で支店を広げるのじゃなくて、製法や経営ノウハウを教えてロイヤルティを取るという、今では普通になったやり方ですね。一方、マクドナルドの創業話はテレビ番組なんかであまり聞かないというのは、この映画を見れば分かりますが、あまりイメージのよい話じゃないからなんですね。

ジェーン:乱暴な言い方をすれば、レイ・クロックが他人の店を乗っ取っちゃったわけよね。

チータ:マクドナルド兄弟という実直な兄弟が始めたハンバーガーショップの調理システムや販売スタイルに惚れ込んだレイ・クロックが、フランチャイズ化の話を持ちかけ、やがて……というお話です。

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
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ターザン:マクドナルド兄弟は「ファミリーのお客さんが笑顔になるようなお店を」という純粋な気持ちで商売を始めたのに、レイ・クロックは儲け主義に走って、兄弟の創業理念は捨て去られてしまった……。クロック自身はそう言われるのは心外だったかもしれないけど、少なくともマクドナルド兄弟の側に立てばそう見える話なんだよね。

ジェーン:この映画じゃ完全にそう見えちゃいますよ。マクドナルド兄弟がすごくかわいそうに描かれてるんだもん。

チータ:でも、クロックを悪人として描いてるわけでもないですよね。マクドナルド兄弟のお店の良いところを全部なくしたわけじゃなくて、守るべきところは守ったことも描かれてますよ。

ターザン:まあ、田中角栄をどう評価するかというのと似たような話だよ。クロックのやり方がビジネスとしては正しかったことはマクドナルドの成功が証明してるわけで。実はクロックの慧眼はハンバーガーよりも土地に着目したところだっていう話なんか面白い。

ジェーン:善人か悪人か分からない感じにマイケル・キートンがぴったりです。

ターザン:ただ、クロックのエネルギッシュな感じよりはミステリアスな雰囲気になっちゃってるけどね。

チータ:70年代にはサンディエゴ・パドレスのオーナーもやってて、本当はもっとギラギラした感じのオジサンですね。

ジェーン:ちょいワルっていうか、かなりワルいオヤジですよ。ローラ・ダーンが演じる奥さんとの関係を見ても、ああ、ワルい男に惚れちゃったねぇって感じで切ないです。

ターザン:良くも悪くもマクドナルドは20世紀後半の大量消費、大衆化社会の象徴だった。しかし、それもこうやって映画になっちゃえばノスタルジックな昔話なわけで、我々の社会はこれからどこへ向かうのか……みたいなことを考えさせられる映画だよね。

ジェーン:全国どこへ行っても駅前は同じチェーン店ばかりっていう風景は味気なくて嫌だっていう空気はありますよね。そうは言いつつ再開発されちゃうのは止められないのかなあ。

チータ:一方で、ビジネス至上主義みたいな人たちにとっても、これからはもう店舗なんかいらないんじゃないかっていう時代にもなってきてるし。

ターザン:示唆に富んだ深い映画です。美談を求める人にはオススメしないけど。

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ターザン
マクドナルドの話は、学校では教えてくれない現代史として重要なんだと実感。

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ジェーン
マクドナルド社は喜ばないであろう話を映画化できるアメリカってスゴいわ。

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チータ
日本マクドナルドの創業者・藤田田の映画とか作れば面白いかもしれませんね。


『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
1954年、ミルクシェイク製造機のセールスマンをやっていたレイ・クロックは、カリフォルニア州サンバーディノのとある店から8台もの注文を受け、どんな店なのかと興味を抱く。そこはディック&マックのマクドナルド兄弟が経営するハンバーガー専門店だった。クロックはその画期的な調理システムと販売スタイルに驚き、新たなビジネスチャンスを見出した……。
監督/ジョン・リー・ハンコック。出演/マイケル・キートン、ニック・オファーマンほか。7月29日より角川シネマ有楽町ほか全国公開。

Tarzan No.723 ゆるめる+伸ばす=柔軟なカラダ! 掲載 〉
取材・文/黒住 光