Nov18Sun

CRAZY KEN BAND「終わってしまう“今”を歌に残していきたい」

2017.08.17

「55曲に絞るってものすごく大変で、いまだに“ああすればよかった”“こうすればよかった”って思うぐらい。本当は150曲入りぐらいにしたかったけど、聴いてくれる人たちのことを考えるとそうはいかないということで、今の自分が打ち出したい曲や気合を入れて作った曲、再度プロモーションしたい曲を中心に選びました」

結成20周年を迎えたクレイジーケンバンド(CKB)が、3枚組ベストアルバムをリリースした。新録された特別仕様曲も8曲収録されており、最新のCKBをも堪能できる豪華な作品となっている。

「ライブと同じサウンドにしたいと思って、『タイガー&ドラゴン』にはトランペットとトロンボーンを入れ、『男の滑走路』にはストリングスを足しました。楽曲はできた時が完成じゃなくて、ライブでお客さまに聴いてもらうことで育って完成していく感じがあるんだよね。それもあって、ライブを再現した新録の8曲にもあれこれ手を加えたら、過去曲を収録するベスト盤なはずなのに、アルバムを一枚作るよりも高くついちゃった。レコーディングしなくていいから楽だねってみんなで話していたんだけどね(笑)」

CRAZY KEN BAND

ファンクやサーフロック、ミディアムチューンなど、実に多彩な楽曲に乗せて横山さんが歌っているのは、車やバイク、そして香港といった横山さんの愛すべきものが多く登場する歌詞。

「1989年、当時台頭していたアシッドジャズを聴いてコレだ!って思ってロンドンに行ったんです。帰国の便が香港経由で、今はなきカイタック(啓徳)空港にランディングするとき、建物すれすれに飛行して、飛行機の翼が当たるんじゃないかってドキドキしてね。街にたくさんあった漢字のネオンやギラギラした夜景に、ロンドン以上に興奮しましたね」

そんな最中にメロディが浮かび、着陸したときに歌詞が出てきたというのが、今回のベストアルバムの1曲目を飾る『スージー・ウォンの世界』だ。

「歌詞はのちに97年に中国に返還された香港のことに書き直すんだけど、僕らの結成も同じ97年。20周年のオープニング曲はこれしかないと思いました。変わっていく香港の街は、1年後には、もうこのモードはないんじゃないかと感じさせる切なさや儚さ、華やかさがあると思うんです。夏と同じような、終わってしまう刹那的な“今”という瞬間を詰め込んだ世界観を僕は歌いたいんです」

撮影中にはお茶目にさまざまなポーズを繰り広げ、取材では音楽活動への想いをまっすぐ語っていた横山さん。構想する今後のCKBとは?

「今年は“攻め”というテーマをツアータイトルの中に入れたんですね。練習を徹底してやる。ちょっときつくても、きついなんて言わずにとにかくやる。覚悟を決めて動くことが、バンドのダイナミズムになると思うんです。年齢的にはちょっと落ち着いていきたいところなんだけど、まだまだのびしろはあると思うし、もっともっと見直さなきゃいけない課題が山積みだし、そこに向けて動くことが僕らのバイタリティになる。来年は満を持してオリジナルアルバムをリリースします。2年ぶりだからプレッシャーもあるけれど、期待以上のものをお届けできるよう頑張りますよ!」


『CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界』
『CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界』CRAZY KEN BAND
UNIVERSAL SIGMA/DVD2枚付き初回限定盤7,800円、通常盤3,500円。

●くれいじーけんばんど 1960年横浜生まれのリーダー兼ボーカル・横山剣さんを中心とした、総勢11人のメンバーで構成。9月から始まる全国ツアー詳細はwww.crazykenband.comで確認を。




Coming Tune

『TYCOON』
『TYCOON』UVERworld
3年間待ち続けたファン待望のオリジナルALが遂に完成! 持ち味のストレートな歌詞と骨太なロックサウンドがさらに研ぎ澄まされ、あっという間に78分59秒を駆け抜けていく。
ソニー・ミュージックレコーズ/18曲収録。初回限定盤3,700円、通常盤3,000円。

『ROOTS〜Piano & Voice〜』
『ROOTS〜Piano & Voice〜』中島美嘉
デビュー前から今に至るまで影響を受けた、彼女のルーツとなる楽曲をカバーした今作。ピアノとボーカルだけのシンプルな構成で、その分、歌詞と彼女の声がドンと胸に伝わるようだ。
ソニー・ミュージック アソシエイテッド レコーズ/7曲収録。DVD付き初回限定盤3,000円。

『ホワット・ドゥ・ユー・シンク・アバウト・ザ・カー?』
『ホワット・ドゥ・ユー・シンク・アバウト・ザ・カー?』デクラン・マッケンナ
16歳でFIFAの汚職について書いた曲が話題となり、以降、世界の多岐にわたる問題を提起する楽曲を発表し続けるブリットポップの天才児。サマソニにも参加したニュースターの新譜。
ソニー・ミュージックインターナショナル/日本盤は3曲のボーナストラック収録。14曲2,200円。

Tarzan No.724 【新編】性(SEX)學 掲載 〉
取材・文/奥山華代 撮影/石原敦志