Oct20Sat

竹原ピストル「いつか、生かしてもらったその恩返しをしたくて歌う。」

2018.05.03

「『GOOD LUCK TRACK』が完成したとき、誰かの挑戦や旅立ちへの健闘の祈りが全曲に共通するテーマになってました。“おっしゃ、行ってこい!”その思いをタイトルに込めました」

1年ぶりに発表する新譜は、竹原さんの思い入れも強い『ぼくは限りない〜One for the show〜』で始まる。

「自分がライブにかける思いを全て詰め込めたのがこの曲です。ステージに上がり、あなたの前で歌うことをどれだけ楽しみにしているか……という素直な気持ちを、まず最初に聴いてほしかったので1曲目にしました」

“歌うたい”渾身のブルース。「哀しみが歌を呼び 歌が歌う哀しみを呼ぶ」という歌詞に託した思いとは。

「1番の『喜びが歌を呼び 歌が歌う喜びを呼ぶ』のように嬉しさを歌い、ファンの方に楽しんでもらう喜びも当然ある。でも感情を紡いだ歌を披露することで、お金を得て暮らす、生活のために歌う哀しみもある。この生業への愛憎入り交じる思いを書きました」

竹原ピストル

メッセージ性と軽快な竹原節が交差する曲はいかに生まれるのか。

「伝えたい言葉をノートに書き、自動的にメロディが浮かぶのが一番多いんです。音の響きは後回し。“こういう内容で”というお題が生じるタイアップの場合は歌詞に悩むことも。でも、どっちも楽しいんですよね!」

思いが迸る竹原さんの音楽に胸を打たれる。だが“聴”後感は、どの曲も実に爽快だ。

「ラストの『狼煙(朗読)』も激しい心情を綴りましたが、“今に見とけこの野郎”という棘々しい闘志を燃やしたことは一度もない。歌詞を書いてていつも思い浮かべるのがお客さんを呼べなかった時代です。当時は歌える舞台を求めてお店を巡りましたが、店のマスターやママさんが常連客を必死に集めてくれて。俺は呼ばれてもねえのに飛び出て歌を披露して小遣いをいただき、さらに飯も食わしていただいて、周りの人のおかげでどうにかこうにか旅を回らせてもらいました。自分の生き甲斐を燃焼させたり、暮らすにはそれが必要なことだけど……生かしてもらったんです。いつか恩返しをしたい。その思いは昔から変わりません」

音楽で食べていく。中学時代に聴いた音楽にシビれ、その心は自然な流れで固まったそうだ。

「当時夢中になって聴いたのが長渕剛さんとTHE BLUE HEARTSさん。自分の言葉で自分の気持ちを思い切り伝える歌い手に憧れて、中学生の頃から暇さえあれば曲を書いてましたね。でも“表現者になるには曲を作らねば!”と意気込んでいたわけではなく、ただクラスメイトに褒められたいな〜なんて気持ちからでした」

実直で堅気。これぞ男!とたびたび称される竹原さんが思う“男の中の男”とは?

「“男の中の男”は、自分の父親のように、家族を支えるため毎日会社で黙々と働き続けるイメージです。こんな自分でも、ステージでワ〜ッと歌ってるときだけは胸張ってられる。キザったらしい言い方ですが、歌を歌うことが唯一の生き甲斐なので。普段の僕はウジウジしてるから“そんな自分がイヤだ!”と歌うんです」

6月から、ギター一本で全国を巡る。

「一生続けていきたいし、続けるだろうし、続けざるを得ないものでもあるライブには、自分の全部が結集してます。馬鹿野郎なんで“男の中の男”像は30分でブッ壊す自信がありますが(笑)、ぜひライブに来てください!」


GOOD LUCK TRACK
『GOOD LUCK TRACK』竹原ピストル
ビクター スピードスター/14曲収録。初回限定盤3,300円、通常盤2,900円。

●たけはら・ぴすとる 千葉県出身。1999年バンド〈野孤禅〉を結成、2009年よりソロで活動開始。6月から本作を引っ提げて弾き語りツアーをスタート、全国巡回の旅は12月22日の日本武道館まで続く。http://www.office-augusta.com/pistol/




Coming Tune

『44/876』
『44/876』スティング&シャギー
スティングとジャマイカ生まれのレゲエアーティスト、シャギーがコラボした注目作。シングル曲『Don’t Make Me Wait』は軽快なリズムとスティングロックがMIX。
ユニバーサル インターナショナル/18曲収録。初回限定盤3,400円、通常盤2,600円。

『PTXプレゼンツ: トップ・ポップ Vol. 1』
『PTXプレゼンツ: トップ・ポップ Vol. 1』ペンタトニックス
昨年グループを離れた結成メンバーのアヴィに代わり新メンバーのマット・サリー(Ba)を迎えての新作。アサヒビールのCMソング『Take on me』はノリノリのアップチューン。
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/12曲収録。2,200円。

『JUJU BIG BAND JAZZ LIVE “So Delicious, So Good”』
『JUJU BIG BAND JAZZ LIVE “So Delicious, So Good”』JUJU
昨年10月10日(JUJUの日)に27人のビッグバンドを率いて開催したライブを収録。全曲英詞で綴られており、なかでもムーディなジャズナンバー『Fever』は歌声と演奏に酔いしれる。
ソニー・ミュージックジャパン アソシエイテッド レコーズ/14曲収録。2,400円。

Tarzan No. 740 腹トレ×凹メシ 掲載 〉
取材・文/門上奈央 撮影/石原敦志