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ニック・ムーン「純粋に音楽を楽しんだ結果、日記のような作品ができた。」

2018.04.22

ロックバンド〈KYTE〉のフロントマン、ニック・ムーンさんがソロ名義では初となるアルバムをリリース。

「この3年間で作った曲を本作には収録しました。曲を聴くと制作当時を思い出すので、僕にとっては日記みたいです。自分の日常や感情を音楽で残せるのはすごくいいなと思います」

『CIRCUS LOVE』という独創的なタイトルに込めた思いを聞くと。

「“CIRCUS”という単語にはカオスやクレイジーさが含まれるけど、“LOVE”にはホッとするような安心感がある。その2語の組み合わせはもともと気に入っていました。この名前でソロ活動しようかと思ったくらい」

KYTEの最後のライブから今まで、公では一度も音楽を披露しなかったニックさん。本作を発表する意味とは。

「最後にバンドで活動したのは2013年ですが、それまでの6年間はKYTEが自分の世界のすべてでした。でも僕は自分一人で音楽を書き、自分で演奏することにもトライしてみたかった。純粋に、KYTEを始めた19歳の頃の“楽しいからやる”という気持ちに戻りたかったんです」

ニック・ムーン

日常の中で自然に曲を書く。そんな日々を送るうちに自然に30曲ほど完成していた。本作のリリースはマネージャーに勧められたことがきっかけだ。

「無意識的に作っていたので、今になると“この歌詞は恥ずかしい”“なんでこう考えてたんだろう”と思う曲もある。特に2曲目の『Guul』の歌詞には僕のダークな内面も出てるかもしれない。でも、頭の中で思い描いてたものをそのまま形にできたし、サウンドを含め満足しています」

本作のレコーディングからミックスまでの工程はすべて自宅で行われた。

「音楽を作るときには、リラックスしたムードが大切。家で作業しているとたまにテレビに見入ってしまうときもあるけど(笑)、気持ちが乗っていれば朝5時まででも作業できる。これは自宅ならではですよね」

コツコツと作業に打ち込む職人気質なアーティストのニックさん。「セルフプロモーションが得意じゃない」とも打ち明けてくれた。

「歌手で売れたい、とか何かの賞を目指す、というよりは、昔から趣味で音楽を楽しんできたタイプ。だから“僕の曲を聴いてくれ!”という気概もない。でも今回はアルバムを出すことで、ようやく完結したと思ってます。出さないと、曲をずっといじり続けてしまうから(笑)。やっぱり歌を聴いてもらえるのは光栄ですね」

これまでもワールドツアーやフェス出演などでいろんな国を巡ってきたなか、来日は今回で7度目。そんなニックさんにとって、日本は「いつか住みたい」ほど特別な国だという。

「説明が難しいんですが……フィーリングですね。日本だとうまく思考が働く気がします。それに前もってリサーチしてなくても、どこに行っても楽しめるのが魅力。あと日本のお菓子は美味しいのでよく食べますが、特に《きのこの山》が好き。たけのこの里?……2010年頃からきのこ派なので、なかなか好みは変えられないな(笑)」

今回のインタビューでは英語と日本語で答えてくれたニックさん。最後に明瞭な日本語でこんな話をしてくれた。

「半年くらい前から日本語を勉強していて教科書もあります。あとはiPhoneのアプリ。でも日本語でなにかを伝えようとすると、日本の人はちゃんと耳を傾けて聞いてくれるのでうれしいです」


『CIRCUS LOVE』ニック・ムーン
『CIRCUS LOVE』ニック・ムーン
ソニーミュージック/11曲収録。2,200円。先行シングル『End/Gone』も収録。

●Nick Moon 2007年にイギリスで結成、『フジロック』などの大型フェスにも出演したバンド〈KYTE〉のヴォーカル&キーボード。本作に収録する『End/Gone』はTVドラマ『The Gifted』の主題歌。http://www.nickmoon.net/




Coming Tune

『BIG YELL』ゆず
『BIG YELL』ゆず
デビュー20周年を迎えた昨年はアジアツアーや紅白の大トリなどで大活躍。勢いマシマシななかで発表するALは、2018人と制作した『うたエール』などのTU楽曲を含む豪華版。
セーニャ・アンド・カンパニー/13曲収録。CD+DVDの初回限定盤3,500円、通常盤2,850円。

『NIPPONNO ONNAWO UTAU VOL.5』NakamuraEmi
『NIPPONNO ONNAWO UTAU VOL.5』NakamuraEmi
TVアニメや朝日新聞社とのTU曲を含む自身3枚目のオリジナルAL。パラアスリート・走り幅跳びの中西麻耶選手との出会いから生まれた『N』は必聴。心の揺れを歌ったナンバーだ。
日本コロムビア/8曲収録。2,700円。5月からは計22公演の全国ツアーを開催。

『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』ASIAN KUNG-FU GENERATION
『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』ASIAN KUNG-FU GENERATION
2012年以降のシングルや新たに録り直した『リライト』をはじめとする代表曲を収めたベストAL。ラストを飾る新曲『生者のマーチ』は温かな眼差しで愛する人の生を歌ったバラード。
キューンミュージック/17曲収録。CD+DVDの初回限定盤3,700円、通常盤2,800円。

Tarzan No.739 筋肥大のひみつ 掲載 〉
取材・文/門上奈央 撮影/石原敦志