Sep20Thu

スキマスイッチ「一作入魂で作った10曲。キーワードは“原点回帰”」

2018.04.03

「今年でデビュー15周年。音楽を続けるなかで少しずつ経験値や技術を身につけ、前作の『スキマスイッチ』はテクニカルな作品になりました。そして『新空間アルゴリズム』のキーワードは“原点回帰”です」(大橋卓弥さん)

前作から約3年半を経てリリースした本作。昨年は奥田民生さんなど12組のアーティストとコラボした『re:Action』で注目を集めた。

「いろんな方の音楽に触れたら新曲を作りたい!という欲求も高まって。そんななか、本作で最初に作ったのがマイナビ転職CMソングの『さよならエスケープ』。細部まで考えずにガーッと制作したのが、デビュー当時の雰囲気にすごく似てました。昔より考えて音楽を作るようになっていたけど、それも全部リセットした感じです」(常田真太郎さん)

“原点回帰”は本作のタイトル『新空間アルゴリズム』にもリンクする。

「1〜3枚目のアルバムは『夏雲ノイズ』など“漢字×片仮名”のタイトルなので、その流れを汲もうと。漢字は音楽に絡めて“真空管”と考えてましたが、新たなスキマスイッチということで“新空間”に。今の僕たちの音楽が完成していくシステムとして“アルゴリズム”を選びました」(大橋さん)

スキマスイッチ
●すきますいっち 左から常田真太郎、大橋卓弥。2003年メジャーデビュー。4月からはニューアルバムを引っ提げて全国27か所34公演を回る『SUKIMASWITCH TOUR 2018“ALGOrhythm”』を開催。http://www.office-augusta.com/sukimaswitch/

今のスキマスイッチの心境を投影した本作。収録する10曲に共通するのは「未来(前)を向いていること」。

「作ってて前向きになれたのはエンディングの『リアライズ』です。メロディに歌詞を乗せると曲が開けました」(常田さん)

「思い入れがある曲は『未来花(ミライカ)』。“僕は死ぬまで何回、あなたの名前を呼べるんだろう”というフレーズは、今年40歳になることで、やっと歌えるテーマですね。“等身大の音楽をしよう”とシンタくんといつも話してて。名前って、どんな日々を過ごそうと誰もが看板に背負うものであり、名を与えられた瞬間は誰かの思いや願いが必ずある。そんな尊いものを呼ぶという行為を歌ったバラードです」(大橋さん)

スキマスイッチは曲作りの全工程を二人で行う。

「アマチュアの頃は卓弥が作る曲を僕がアレンジするだけでしたが、“こんな伴奏はどう?”“テンポはこうしよう”と僕がアイデアを出すうちに、今のやり方になりました。どんどん音楽が変わっていくのが面白くて」(常田さん)

「制作中はよくぶつかりますよ。ただ2人なので多数決はなく、どちらかに決めないといけない。僕の意見Aとシンタくんの意見Bがぶつかれば、両方捨ててCを一緒に考えます。もちろん“その思いに僕も乗りたい”ということもあるし、結局好みの問題だったりするので。スタッフにすれば“大丈夫かよ”と(笑)」(大橋さん)

「“今はそういう時間かな?”と察してサーッと引いていく(笑)。嫌いで文句言うんじゃなく、いい音楽を作りたいので。ただこの方法が続いてるのは、卓弥に“いいね”と言われたいのが根底にあるかもしれない」(常田さん)

毎年ツアーを開催するスキマスイッチ。4月からは久々にニューアルバムを引っ提げての全国ツアーが始まる。

「ライブは僕たちのレコーディングのキーワードでもあり、大抵の曲は制作中に“このアレンジはライブでやろう”という話をします。伝えたいメッセージは同じですが。特に本作はお客さんと一緒に歌いたい曲が多いので、ライブをとおして、皆でこのアルバムを完成させたいです」(大橋さん)


『新空間アルゴリズム』スキマスイッチ
『新空間アルゴリズム』スキマスイッチ
オーガスタレコード/10曲収録。初回限定盤3,700円、通常盤2,950円。



Coming Tune

『GLORIOUS』東京スカパラダイスオーケストラ
『GLORIOUS』東京スカパラダイスオーケストラ
昨年秋、8都市を巡るラテンアメリカツアーで盛況を博したスカパラの新譜。ブラジルのNo.1ラッパー、エミシーダがfeatした『Believer』はグルーヴ感満載のヒップホップ。
cutting edge/JUSTA RECORD/10曲収録。CD+Blu-ray5,600円、CDのみ3,000円。

『ボーディング・ハウス・リーチ』ジャック・ホワイト
『ボーディング・ハウス・リーチ』ジャック・ホワイト
2011年解散のThe White StripesのJ・ホワイトのソロ名義第3弾のAL。ビヨンセやQ-Tip等と共演するミュージシャンが奏でるサウンドが秀逸で『Connected By Love』は最たる例。
ソニーミュージックジャパンインターナショナル/13曲収録。2,500円。

『Toys Blood Music』斉藤和義
『Toys Blood Music』斉藤和義
デビュー25周年を迎えての新AL。一人多重録音による楽曲はアナログシンセサイザーが交差するサウンド。鈴木雅之さんへの提供曲をセルフカバーした『純愛』は軽快なダンスチューン。
スピードスターレコーズ/17曲収録の初回限定盤3,800円、11曲収録の通常盤3,000円。

Tarzan No.738 「血糖値」コントロール 掲載 〉
取材・文/門上奈央 撮影/石原敦志