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ACIDMAN「音楽と死生観だけをずっと探求してます」

2018.01.16

バンド結成20周年を迎え、11枚目のオリジナルアルバムとなる本作のタイトルはギリシャ文字で11番目を意味する“Λ(ラムダ)”。
「宇宙の起源にさかのぼれば、たった数十年の人間の生命。このもどかしいほど儚く、美しいものを今まで以上に追求したのが『Λ』。一つの哲学のような作品です」(大木伸夫さん)

Λ(ラムダ)は、宇宙論においては“宇宙定数”を指し、アインシュタインも方程式に導入したという。
「宇宙定数を語り始めると難解になりますが、僕は宇宙論にもともと関心があるんです。宇宙の大半は未解明の物質“ダークマター”と“ダークエネルギー”でできています。科学が発展した現代も、たった4%しか宇宙は解明されていない。それなら真のリアリティは宇宙にあるはずだと考えているんです」

ロックやバラードなど起伏に富む本作。小林武史さんプロデュースの『愛を両手に』がラストを飾る。
「初めてこの曲を聴いたとき、小林さんが入れた冒頭のシンセがすごく神々しく響いた。一方、僕の歌詞は、亡くなる直前の祖母への思いを綴る生々しい言葉でした。結果的にそのバランスが絶妙で、召されていくような余韻もあり締めにぴったりだなと」

ACIDMAN

今回の収録曲はシンプルな言葉で書かれた歌詞が多い。それはひとえにファンのおかげだと言う。
「ライブでファンと接する機会が多かった昨年に制作して、堂々と胸を張って書けた言葉ばかり。力強いです」

デビュー当時から「聴いてくれる人がいるから歌う」思いは変わらない。
「自分の人生や思想を誰かと共有したいから、歌い続けてるんだと思います。誰にも聴かれない歌なんて、ただむなしいだけ。それに僕が好きなのは、悲しんでいる人を助けたり、弱っている人を救うようなロックだから」

バンド結成当初は、今日のように20年先にも音楽を続けている姿を、まったく想像していなかったと言う。
「恥じらいや躊躇など、表現するうえでムダなものがどんどんなくなりました。音楽は“音を楽しむ”と書くけれど、もう、そんなレベルじゃない。もっとスゴいものがあると知りました」

しかし20年経っても全く変わらないのは、音楽で伝えたいメッセージだ。
「本当に不器用なんですよ。音楽も今持ってるような思想も、小3くらいからずっと探求していて……。それだけは変わらない。だったら俺は、それを表現するだけ。この武器を磨くしかないなと。これを中2病ならぬ“小3病”と、僕は呼んでますけど(笑)」

一方、メンバー佐藤雅俊さん(bass)と浦山一悟さん(drums)は「宇宙のウの字も興味のない二人」と大木さん。
「そこがバンドの弱さであり、魅力なんですよ。一つの歴史なんです。それが、僕がソロでやらない理由。思想を主張しない二人でも、いてほしい。存在にすごく支えられていますから」

バンド結成21年目を歩み始めたACIDMAN。今年の抱負を尋ねた。
「これからも、一人でも多くの人に良い曲を届けたいです。自分に嘘ついたり、くじけたり、夜に一人で涙を流したり。それが、人間ですよね。だからこそ、僕らみたいな表現者は歌い続けるべきだなと思うんです」


『Λ』ACIDMAN
『Λ』ACIDMAN
ユニバーサルミュージック/12曲収録。初回限定盤3,780円、通常盤3,024円。

●あしっどまん 3人組ロックバンド(大木伸夫さん・佐藤雅俊さん・浦山一悟さん)。1997年にバンド結成。4月から始まる「ACIDMAN LIVE TOUR “Λ”」のファイナルの舞台は日本武道館。http://acidman.jp/




Coming Tune

『WHITE』
『WHITE』uchuu,
最先端テクノロジーが奏でるダンスミュージックを基軸に生まれ変わった新生uchuu,。移ろいゆく夜空を歌う『東京エソラ』は、寒い冬の夜に聴きたい儚く美しいナンバーだ。
スペースシャワーミュージック/5曲収録。1,389円。新体制となり2作目のEP。

『瞬き』
『瞬き』back number
切ない歌詞に定評があるスリーピースバンド。力強くセンチメンタルなサウンドの『瞬き』は、映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』主題歌。またDVDにはMVのほかメイキング映像も。
ユニバーサルシグマ/6曲収録。CD+DVD初回限定盤1,800円、通常盤1,000円。

『ノー_ワン・エヴァー・リアリー・ダイズ』
『ノー_ワン・エヴァー・リアリー・ダイズ』N.E.R.D
ファレル・ウィリアムス率いるヒップホップグループが再始動! リアーナらをはじめとする計8組の豪華ゲストとの作品や『Voilà』など日本収録の計4曲などグルーヴ感あふれる11曲。
ソニーミュージックレーベルズ/初回限定盤2,200円。全世界同時発売の話題作。

Tarzan No.733 「内臓脂肪」の減らし方 掲載 〉
取材・文/門上奈央 撮影/石原敦志