Apr29Sat

Abarth 595 Competizione [アバルト 595 コンペティツィオーネ]

2016.07.17

日常のクルマ生活に刺激を!
アバルトは最高のスパイスだ。


取材・文/石井昌道:雑誌編集経験のあるモータージャーナリスト。
撮影/小川朋央:自然を愛する、のんびり、ときどき突撃型カメラマン。
本誌クルマ担当ワタベ:帰ってきた旧担当。車の好みは味のある軽自動車。

ワタベ:今回は静岡県伊豆市の筏場のワサビ田にやってきました!
小川:すごい! ワサビってこんな場所で作られてるんですね。
石井:川の流れを利用して棚田を作るんだね。澄んだ清流の中で大切に育てられているね。ちなみに、ここは東京ドーム3個分ぐらいの広さらしい。
ワタベ:石井さんがアバルトは小さくても刺激があると言っていたので、ワサビが似合うかなと思って。
石井:本当は小粒でもピリリと辛い山椒をイメージしてたんだけど、ま、ワサビでもいっか。とにかくアバルトを生活に取り入れたら、その刺激から離れがたくなるよ。さび抜きの寿司なんて食えねえってなもんで。
ワタベ:たしかに刺激はたっぷりですね。エンジンをかけたときのバブーンって音で、まずオォッと興奮して、アクセルを踏むと弾けるように加速していくのがもう最高!

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石井:本格的なスーパースポーツに比べたら速さはそれなりだけれど、興奮度は近いものがある。公道の常識的なスピードの中で楽しませてくれるという意味では最高の一台だよ。本当に速いクルマは、公道では実力の1割ぐらいしか出せないから、かえってストレスが溜まったりもする。
小川:少し乗り心地が硬いですけど、それもなんかスポーツカーに乗ってるっていう刺激になってていいですよね。
ワタベ:ボクはアバルトに乗るのは2回目なんですけど、前より乗り心地が良くなったように感じました。東京から伊豆まで運転しても、思ってたよりも疲れません。
石井:そうなんだよね。以前よりもちょっと良くなっている気がする。小川さんが言うように、基本的には締め上げたサスペンションだけど、ストローク感にはしなやかさがあるんだ。この小さなボディにこれだけ大きなタイヤを履かせてスポーティなサスペンションを装着したら、普通はデートには使えないぐらいの乗り心地になってしまうけれど、アバルトはそうじゃない。日常のクルマ生活はキチンとこなしつつ大いに刺激を与えてくれる、その絶妙なバランスが最大の魅力なんだよ。
ワタベ:ところで、ボクはMTにあまり慣れていないんですが、どうすれば上手く乗れるんですかね?
石井:停止していてエンジンがアイドリング状態、つまりアクセルペダルに触れないまま、1速に入れて踏み込んだクラッチペダルをゆっくりと戻していってごらん。あるところからエンジンの音が変わって少し回転が下がってくる。これが半クラッチ状態。そのポイントからアクセルを踏み始めることを覚えるとスムーズになるし、坂道発進なんかも楽になる。
ワタベ:あっ、それをやるとアクセルを踏まないでもクルマがちょっと前に出るんですね。そこからアクセルを踏む、と。これは楽だな。
石井:アバルトはエンストしにくいシステムになっているから、MTでも臆さず乗れるはずだよ。アバルト・コンペティツィオーネと呼ばれる2ペダルも良くできていて楽しめるけど、個人的にはぜひMTで乗ってもらいたいな。


Q 刺激の源の一つが音。どうしてあんな迫力があるんですか?

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まずベース車両とはエンジンそのものが違います。スタンダードなフィアット500は最高出力69PS/最大トルク102Nmの直列4気筒1・2LNAと85PS/145Nmの直列2気筒875ccターボの2種類ですが、アバルト595コンペティツィオーネは180PS/230Nmの直列4気筒1・4Lターボを搭載します。ベースの倍以上のパワーをブチ込んでしまうのが、アバルトらしいですね。そして何よりもサウンドに効いているのがレコードモンツァ デュアルモード エキゾーストシステムと呼ばれるマフラーです。アバルトはもともと自動車用マフラーの販売から始まった歴史がありますから、性能とともに音の良さにも定評があるのです。

Q サソリのエンブレムには何か由来があるのですか?

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創業者のカルロ・アバルトが自分の蠍座にちなんで考案したそうです。それを聞くと、なーんだ単純な理由だなと思ってしまいますが、アバルト車のキャラクターをじつに巧く表現していると思います。というのも、古くからアバルトはフィアットの小型車をベースにハイパワーなエンジンを搭載して格上のスポーツカーを打ち負かしてしまうのが持ち味だったのです。小さいからってナメてると怪我をするよ、ってなもんで、猛毒を持つサソリのように恐るべき存在だったからです。ピッコロモンスターなんていうあだ名でも呼ばれていました。創業は1949年ですが71年にはフィアット傘下でモータースポーツ部門や市販車のスポーツモデルを担っています。


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Abarth 595 Competizione

フィアット500をベースに、エンジンをはじめ大幅なモディフィケーションで飛び切りに熱いスポーツモデルとなっているアバルト595コンペティツィオーネ。今春にはマイナーチェンジを受け、最高出力が20PSアップした。

●全長3,665×全幅1,625×全高1,500mm●エンジン=1,368cc、直列4気筒16バルブインタークーラー付きターボ●変速機+駆動方式=5速マニュアル+FF●燃費=13.8km/L(JC08モード)●乗車定員=4名●カラー=4色●車両本体価格=3,270,000円●問ABARTH Tel:0120-130595

〈Tarzan No. 699掲載〉
取材・文/石井昌道 撮影/小川朋央