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HONDA ODYSSEY HYBRID ABSOLUTE [ホンダ オデッセイ ハイブリッド アブソルート]

2016.09.16

新たな価値を創造するDNA、ハイブリッド追加で人気急上昇。


取材・文/石井昌道:雑誌編集経験のあるモータージャーナリスト。
撮影/小川朋央:自然を愛する、のんびり、ときどき突撃型カメラマン。
本誌クルマ担当/ワタベ:帰ってきた旧担当。車の好みは味のある軽自動車。

ワタベ:今回は長野県上田市にある“稲倉の棚田”にやってきました。
小川:壮観だね〜。いろんな形の田んぼが無数に広がっていて、その中にポツンとミニバンがいるのがなんともミスマッチだけどいい。
石井:日本の棚田百選に選ばれている。元祿時代から明治時代にかけて開田されたということだけれど、平地の少ない日本ではこういった工夫が必要だったんだね。
ワタベ:そこがオデッセイと重なるんじゃないかと。ミニバンも限られたボディサイズの中で最大限の室内空間を取っていて、日本で発展したジャンルじゃないですか。

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石井:おっ、ワタベくんもモータージャーナリストっぽいことを言うようになったな。オデッセイってとこがまたいいね。
ワタベ:と言いますと?
石井:もともとホンダは小型車中心のメーカーで1990年代に流行したRV(レクリエーショナル・ビークル)がないことに危機感を持っていた。そこで既存の設備で生産できるギリギリ大きなサイズのモデルを設計して出来上がったのが初代オデッセイなんだ。
小川:へぇ〜、工場の都合でクルマの大きさが決まるなんて面白いですね。意外な制約ですね。
石井:大きくてもセダンのアコードなどしか作っていなかったから、ミニバンにしては背が低かったし、スライドドアも装備できなかった。だけどそれが新しくて予想以上にヒットしたんだ。昔のミニバンの商用車的なイメージが消されてちょっと上級に映ったんだよ。クリエイティブムーバー(生活創造車)なんて呼んでたな。
小川:だけど今のオデッセイは背が高いですよね。
石井:歴代モデルはそれなりに健闘してきて、3代目、4代目ではもっと背が低くてスポーティな路線になったけれど、だんだんと需要が低迷してね。ミニバンも背高で箱形、スライドドアじゃないと売れなくなってきた。さらにホンダは大型モデルではなかなかヒットが出ないから一つ上のエリシオンと統合して今の5代目になった。
ワタベ:でも、売れ線の路線になればなったでライバルとの争いが厳しいんではないですか?
石井:その通り。当初の販売台数はそれなりだったんだけれど、今年2月にハイブリッドを追加してから大人気で以前の倍以上、月によっては3倍ぐらい売れてる。もちろんガソリン車より高価なのにね。26kmの燃費は魅力的ってことだね。
小川:すごく静かでスムーズで力強いハイブリッドですよね。なんか新しい感覚です。
石井:ハイブリッドシステムにもさまざまなタイプがあるけれど、オデッセイはほとんどを電気モーターで走るからEVに近い。自然豊かな地域に来たときには、なるべく排気ガスを出さないよう走れるから気分的にもいいよね。
ワタベ:高速道路では普通だったけど、狭い山道を上ってくるときはなかなか頼もしかったです。これが電気モーターの走りなんですね。
石井:エンジンよりも低回転・低速域のトルク(回転力)が太いのが電気モーターのメリット。大きく重いミニバンにも向いてるんだよ。


Q 4つも走行モードがあるのはなぜですか?

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ハイブリッドシステムは、エンジンが主体で電気モーターがちょこっとアシストするマイルドなものから、逆にほとんど電気モーターで走りエンジンがアシストに回るものまでさまざまですが、オデッセイは完全に後者。基本的に電気モーターで走り、エンジンは“ほぼ”発電専用です。アクセルを強く踏み込むとエンジンがうなる音が聞こえますが、タイヤを回しているのではなく発電機を回しているのですね。こういったシステムはシリーズハイブリッドなどと呼ばれますが、オデッセイでは高速走行時のごく一部だけエンジンで直接駆動するモードがあります。電気モーターは高回転・高速域で効率が落ちてくるのでそこを補う役割を持たせているのです。

Q オデッセイはなぜスライドドアを採用したのですか?

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ミニバンは1990年代に大ブームになり、セダンやハッチバックに代わる日本の国民車のような存在になりました。その中では背が低く、ドアも普通のヒンジタイプのモデルはユニークな存在としてもてはやされましたが、最近はミニバン全体の需要は少し落ちてきて、背高・箱形・スライドドアのいかにもなミニバンだけが根強い人気を持つ状況に変わりました。オデッセイもそれで宗旨替えしたわけですね。スライドドアは、横にスペースがなくても開け閉めができますし、子どもや高齢者には乗り降りがラク。チャイルドシートの取り付けなどでも重宝します。また、運転席のボタンで電動開閉できるので、安全です。利便性の高さではかないませんね。


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HONDA ODYSSEY HYBRID ABSOLUTE

ミニバンも得意とするホンダのなかでもっとも上級なモデル。飛ぶように売れるほどの人気! しかも車体が重いイメージのミニバンにもかかわらず、燃費は嬉し驚きの25kmオーバー。

●全長4,830×全幅1,820×全高1,685mm●エンジン=1,993cc、水冷直列4気筒DOHC i-VTEC+i-MMD●変速機+駆動方式=無段階変速AT+FF●燃費=25.2km/L(JC08モード)●乗車定員=8名●カラー=7色●車両本体価格3,675,926円●(問)本田技研工業(TEL)0120・112010

Tarzan No. 703 実は、アタマに良いコト、悪いコト 掲載 〉
取材・文/石井昌道 撮影/小川朋央