Apr25Tue

どんどん甘くなる日本人の食生活。その背景を専門家が分析!

2017.03.14

現代日本の“甘さ”についての最新の話題は『甘甘新聞』を読めば丸わかり。

ここ20〜30年の間に全体的に甘くなったもの。それは果物ではなかろうか。苺やミカンなど、なかには酸っぱいものがあってもおかしくないのだが最近は総じて「甘い」。果物のみならず、男性にもスイーツブームが広がるなど全体的に味覚が甘甘になっている感がある。
マーケティングコンサルタントの矢野新一さんはこう話す。
「ここ10年くらい、消費者が甘くて柔らかい食感を求める傾向があります。たとえばミカンの産地を取材しても、“今年は甘くていいミカンですよ”という声をよく耳にしますし、生産者も甘さ至上主義になっているのを強く感じます。高糖度であれば高く売れるという現実的側面もあり、この流れは当分続くでしょうね。酸っぱい果物を好む方も多いと思うのですが」

あまおう
2005年に品種登録され、苺の一大ブランドとなった「あまおう」。強い甘みが特徴。

その背景を味覚コンサルタントの菅慎太郎さんが分析する。
「日本全体がストレス社会化しているのはあるでしょう。人はストレスを受けると甘いものを口にして精神を安定させようとする。防御反応として極めて正しいのです。あとは食生活の変化による咀嚼回数の減少も大きいですね。何度も嚙むことで食べ物の甘さを感じるのではなく、口に入れた瞬間甘くないとおいしいと感じられない層が増えている。だから甘くて柔らかいものが好まれるのでは」


【甘甘ご当地コラム1】卵焼きに砂糖、入れる? 入れない?

東西南北に弓形に長い島国の日本だけに、卵焼きひとつとっても砂糖を加えるか否かで地域差が出る。右の分布図を見ると、東日本の大部分と北海道、九州の鹿児島、長崎あたりは加える派、西日本は関西を中心に加えない派と分かれ、関東や中部、中国地方、九州の一部は両派互角である。
この結果から考えられるのは、関西では出汁巻き卵を好んで食べる機会が多いことから、その流れで卵焼きにも砂糖を入れず、塩や薄口醬油で味付けする傾向があるのではないかということ。とはいえ、卵焼きは砂糖を入れないとふっくら柔らかく仕上がらないのも事実。「甘い」が優勢な地域は単に甘いもの好きというわけではなく、食感を重視して砂糖を加えている可能性もあるのだ。

全国の卵焼きの味
出典/日経電子版「食の方言」を探る 食べ物新日本奇行

【甘甘ご当地コラム2】あなたの地域のお雑煮、甘いですか?

おせち料理と同じくお雑煮を食べると正月気分がグッと高まるもの。加えるお餅の形状や多少の味付けの違いはあれど、ベースはあくまですまし汁という地域が圧倒的に多いなか、唯一変わったお雑煮を食べているのが香川県の人たち。なんと、餡入りの丸餅が入った「あん餅雑煮」が一般的なのだとか。この独特の雑煮をこよなく愛する香川県出身者はこう語る。
「うどんと同じくいりこで出汁を取った温かい白味噌汁の中にあん餅を入れると、次第に餅が溶けて中の餡が姿を現すんです。白味噌の塩分と餡の甘みが混ざったのを口にすると“ああ、やっぱりこのお雑煮だなあ”と故郷への思いが湧き上がります。他県の人が食べても結構イケると思いますよ」
気になる人はお取り寄せサイトをチェックしてみよう。

あんもち雑煮
《金運のあんもち雑煮》2食入り1,000円。購入は〈讃岐の素〉サイトにて。

〈監修〉
菅 慎太郎さん
味覚コンサルタント兼コピーライターとして市場分析や商品開発に携わる。「おいしさ」の表現を企画する口福ラボ代表。㈱垂水未来創造商社ジェネラルマネージャーも務める。

矢野新一さん
エリアマーケティングおよび県民性研究の第一人者。ナンバーワン戦略研究所所長。『石川県人と富山県人のえっホント!?』(北國新聞社)など県民性に関する著作は20冊以上。


『甘甘新聞』完全版は『Tarzan』714号で!


Tarzan No.714 気になる糖との賢いつきあい方 掲載 〉
取材・文/黒田 創 撮影/山城健朗