Apr29Sat

ブレーシング列伝/GOMAさん(ディジュリドゥ奏者)

2016.11.27

息を吐きながら吸う循環呼吸で瞑想状態になれるんです。

ヴォヴー、ヴオヴーヴオブァーーという下っ腹に響く音。見慣れないこの楽器の名はディジュリドゥという。オーストラリア先住民、アボリジニの民族楽器で白アリに食われた筒状のユーカリ。操っているGOMAさんは世界屈指のディジュリドゥ奏者。どうやって吹いてるんですか? と聞くと、
「循環呼吸で吹いてます」
循環呼吸? それ何ですか?
「簡単に言うと、息を吐きながら吸うんです」
吐きながら、吸う……?
「腹式呼吸で丹田から送り出した空気を頰に溜めます。空気のボールみたいなものを作ってそれを口の中で転がすような感じ。その空気のボールを楽器から返ってくる圧を利用して吐き続けながら、カラダに必要な息を鼻から吸うんです。猫背になったりカラダが歪んでいると空気の通り道が詰まってこの呼吸はできません。だから姿勢を正しく保つことがとても重要」

一日の練習は平均して3時間。ライブの前には半日練習することも。場所は自宅か近所の河川敷。「自然の中で吹くとますます気持ちがいい。屋内とは響きも違います」。
一日の練習は平均して3時間。ライブの前には半日練習することも。場所は自宅か近所の河川敷。「自然の中で吹くとますます気持ちがいい。屋内とは響きも違います」。

何やら非常に難しそうだが、管楽器奏者の中には循環呼吸を取り入れている人も少なくない。GOMAさんは何時間でもこの呼吸法を続けられるというから驚きだ。
「メリットは演奏を途切らせずに続けられること、音の安定感が増すこと、それとマインドが整うこと、でしょうか」
なんとディジュリドゥの演奏には瞑想効果もあるのだそう。
「循環呼吸で脳に酸素が巡ると、脳が覚醒状態になります。脳の回路が整理されて集中力が増し、記憶力もよくなる。で、雑念が取り除かれてシンプルな状態になるんです。これがすごく気持ちいい」
演奏している本人が一番気持ちいい楽器、それがディジュリドゥ。


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腹式呼吸による腹の凹凸を見よ!
循環呼吸の基本となるのは腹式呼吸。息を吸ったときには横隔膜が下がってお腹がぶわーっと膨らみ、吐くときには横隔膜が押し上げられてすごい勢いですこーっと凹む。


●ごま オーストラリア先住民族の管楽器ディジュリドゥ奏者。09年、交通事故による高次脳機能障害を患い一時活動を休止。2年後、活動を再開。現在は画家としての活動も精力的に行う。初の書籍『失った記憶 ひかりはじめた僕の世界』(中央法規出版)が発売中。
●ごま オーストラリア先住民族の管楽器ディジュリドゥ奏者。09年、交通事故による高次脳機能障害を患い一時活動を休止。2年後、活動を再開。現在は画家としての活動も精力的に行う。初の書籍『失った記憶 ひかりはじめた僕の世界』(中央法規出版)が発売中。

本誌708号では、呼吸の達人たちの呼吸法を紹介。


Tarzan No.708 呼吸と姿勢 掲載〉
取材・文/石飛カノ 撮影/新井孝明