Jun23Fri

ロシアの武術、「システマ」から学ぶ緊急時の呼吸法。

2016.11.29

ロシア軍特殊部隊が使う呼吸法を身につけて、ストレスに満ちた現代社会を生き抜け!

ロシアで古くから伝えられていた身体技法や武術を、現代の軍隊にふさわしい形に再構成して作り出されたシステマ。ロシア軍特殊部隊が採用しているマーシャルアーツであり、旧ソ連時代は国家機密とされていた。
システマは相手を破壊するのではなく、衝突を終わらせることを目的としている。なかでも「システマ・ブリージング」とも呼ばれる呼吸法は、システマの根幹にあるもの。基本の呼吸法はシンプルなものだが、過度な緊張を和らげ、常に心身をニュートラルな状態に保つためにとても重要視されている。多くのことはこの基本の呼吸で対処できるが、それでも自身をコントロールできない場面に遭遇したときに用いる目的別の呼吸法も用意されている。
怒りや恐怖を感じると呼吸は浅くなり、心身は不安定になる。戦場でパニックを起こしてしまったら、待っているのは“死”だ。これを防ぐべく、呼吸が持つ力を利用して心身を安定させ、自身の持つ力を最大限に発揮させるためにシステム化したのがシステマ・ブリージングなのだ。戦闘という危機的な場面でも用いられる呼吸法を身につけることができれば、日常のトラブル、ビジネスでのストレスも怖くない!?


【 システマの基本呼吸 】

基本の呼吸

■基本の呼吸
口を閉じて鼻から息を吸い、軽くすぼめた口からフーッとロウソクの火を消すようなイメージで息を吐く。普段よりも多めに空気を出し入れするつもりで呼吸する。これを何度か繰り返す。まず確実に呼吸をするのが、トラブルやストレスへのファーストエイドとなる。


歩きながらの呼吸

■歩きながらの呼吸
呼吸をコントロールするためのドリル。口から息を吐きながら1歩進み、鼻から息を吸いながら1歩進む。歩くペースは普段通り。これを1〜3分ほど続けたら、次は口から息を吐いている間に2歩進み、鼻から息を吸っている間に2歩進む。同じく1〜3分続けたら、次は3歩、4歩と、呼吸の間に進む歩数を増やしていく。まずは7〜8割の力で10歩までできることを目標にする。


【 目的別の呼吸 】

ブレスホールドエクササイズ

■やる気を起こす→ブレスホールドエクササイズ
気持ちをリセットし、やる気を起こすエクササイズ。膝を軽く曲げた状態で立つ。背中が丸まらないように注意。鼻から息を吸って、口から軽く息を吐いて止め、息を止めたままスクワットをゆっくりと5回程度繰り返す。限界に達したらスクワットをやめ、基本の呼吸を行って脈拍や筋肉の緊張を回復させる。血圧が高めの人は限界まで耐えることはせず、早めに呼吸を再開させよう。


バーストブリージング

■ストレスがかかったら→バーストブリージング
拳を柔らかく握って床につけ、プッシュアップの姿勢になる。頭から足まで一直線になるように。通常よりも短く速い呼吸(1秒間に1回ぐらいが目安)をしながらゆっくり(理想は1分かけて)肘を曲げ胸が床に触れるまで下げる。下がり切ったらゆっくりと元の位置に。難しければ膝をついたり、手を開いてもOK。なるべくゆっくり、1回行う。フッ、フッと強く吐くことを意識するとやりやすい。


Teacher’s Profile
北川貴英さん
●きたがわ・たかひで2008年にシステマの創始者であるミカエル・リャブコ氏から公認インストラクターに認定される。著書に『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』(小社刊)ほか。


本誌708号では、怒りやパニックに対するメソッドも紹介!


Tarzan No. 708 呼吸と姿勢 掲載 〉
取材・文/神津文人 イラストレーション/山口正児 取材協力/北川貴英(システマ東京代表、公認システマインストラクター)、渡辺 文(システマ女子会)