Jun23Fri

『ラ・ラ・ランド』

2017.02.28

今年もアカデミー賞予想は映画ファンのお楽しみ。

チータ:今年のアカデミー作品賞の大本命といわれているミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』です。はたしてどうなりますやら。
ジェーン:もう決まりでしょ。圧倒的な楽しさだもん。
ターザン:アメリカの映画レビューサイトの星の数もすこぶる高得点で、いわゆる“観客満足度”が最高レベルの映画なのは間違いないけどね。
チータ:アカデミー賞も最多の13部門14ノミネートです。たくさんオスカーを獲るでしょうけど……案外、作品賞は微妙なところじゃないですか?
ターザン:そうなんだよな。ハリウッド外国人記者協会が選ぶゴールデングローブ賞では、作品賞ほかノミネート7部門をすべて受賞の圧勝だったけどさ。ゴールデングローブ賞はドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門に分かれてるから、ミュージカルの『ラ・ラ・ランド』は楽勝だし。“アカデミー賞の前哨戦”というキャッチフレーズも昔の話で、最近は作品賞でゴールデングローブ賞とアカデミー賞をダブル受賞する例は少なくなってるんだよね。
チータ:最近、アカデミー賞に最も近いといわれるのはPGA(全米プロデューサー組合)賞なんですが、昨年の作品賞は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。アカデミー作品賞の『スポットライト 世紀のスクープ』とは異なってます。
ターザン:アカデミー賞って意外にインテリっぽいんだよな。映画業界人が選ぶ内輪のお祭りではあるんだけど、日本アカデミー賞みたいに興行価値に重きを置いてヒット映画を表彰するのじゃなくて、「ハリウッドはこんなに高尚な作品も生み出していますよ」っていう自分たちのプライドを満たすような、社会派、芸術派の作品が選ばれやすい。もちろん、高尚すぎるマイナー作品はノミネートもされないけどね。
ジェーン:え? じゃあ『ラ・ラ・ランド』はアカデミー作品賞を逃すっていう大胆予想をぶち上げますか?
ターザン:いや、それは責任取れない。
ジェーン:あなたに最低チキン賞を差し上げますわ。

LA LA LAND
EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.  Photo courtesy of Lionsgate. ©2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

チータ:あの、『ラ・ラ・ランド』の作品紹介を全然やってませんけど。
ターザン:いいんじゃないの? メディアがこぞって紹介しまくるはずだし。
ジェーン:みんなが言うように「若手監督がミュージカル映画の魅力を現代によみがえらせた傑作!」っていう評価でいいんじゃないですか。
ターザン:それはどうかな?
ジェーン:あら、お嫌いですか?
ターザン:いや、いい映画だけど、肝心のミュージカルシーンがいまいち盛り上がらないと思ったんだけどなあ。
チータ:監督は『セッション』のデイミアン・チャゼル。ジャズ好きな人なんで、この映画の音楽もモダンジャズのノリです。ポップやロックのノリを期待する人には肩すかしかも。
ジェーン:若い子にとってジャズはオシャレでしょ。音楽も衣装も映像もオシャレでサイコーですよ。
ターザン:うーん……何というか、『セッション』って賛否両論あったじゃない。あれはジャズミュージシャンの話を活劇映画の文法を借りてやったら、音楽マニアたちから「音楽の世界はこうじゃない」って否定されたんだよね。でも、活劇映画好きからは絶賛された。今回は、ミュージカル映画をやりたいけど、ただミュージカルをやってもウケない。そこで、ストーリーの土台である恋愛の部分をしっかり描こうとした結果、恋愛映画としては傑作だけど、ミュージカル本来の楽しさとしてはどうなのよ……ってことになってないか? 本当は、フレッド・アステアやジーン・ケリーのMGMミュージカル黄金期の映画って、ストーリーはペラペラなんだよ。だからこそミュージカルシーンの力がスゴいんだ。
チータ:なるほどね。まあ、絶賛評が多くなると思いますから、そういう意見もあっていいんじゃないですか。
ジェーン:普通の若い子はそんなに難しく考えずに、オッシャレ〜って見ると思いますけどね。

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ターザン
何はともあれ、インディーズ出身、長編3作目でここまでやる監督の才能は本物。

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ジェーン
主演の2人の、上り坂のスターだけが放つことができるキラキラ感が眩しい。

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チータ
アナ雪みたいな“歌い上げ系”の曲じゃないので、日本人ウケはよくないかも?


『ラ・ラ・ランド』
ショービジネスのスターを夢見る若者(と、もう若くもない人)たちが集まるミーハーの都LA。カフェでバイトしながら女優を目指すミアはオーディションに落ちまくりの日々。そんな彼女と、上から目線で皮肉ばかり言う酒場のピアニスト・セブが出会って、最初はケンカしてるけど、すぐに恋に落ちて……。
監督/デイミアン・チャゼル。出演/ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズほか。2月24日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国公開。

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構成・文/黒住 光