May30Tue

主食を玄米に替える。

2017.02.14

イタリアに渡って間もなく、外食が多かった頃はパスタやピッツァを毎日のように口にしていた。だが、食生活を見直すようになってからというもの、主食はもっぱら米。
小麦粉は加工品であるのに比べ、米は原料そのものであること、粉食より粒食の方が吸収が緩やかで血糖値が上がりにくいこと、必ずしもオイリーなおかずを必要としないことなど、理由はいろいろある。でも、最大の理由は、やはり子どもの頃から食べ慣れた主食だったことかもしれない。

以来、日本から定期的に白米を取り寄せて食卓に乗せるようになった。何の迷いもなくそうしたのは、白米を食べることがごく当たり前と考えていたからだ。今、振り返ると、ある意味では思い込みだったかもしれない。
食事を見直してからというもの、さまざまなソースから栄養の知識を得るようになった僕だが、そのうちに最も根本的な主食について考えを巡らせるようになった。

白米は確かに美味しい。炊きたてのごはんの甘い香りや粘りのある食感やどんなおかずとも相性のいい汎用性、どれをとっても素晴らしい。ただ、外皮や胚芽(※1)を取り去った白米は残念ながら栄養という意味ではあまり優秀とはいえないのだ。そのことを知り、僕は玄米を主食に取り入れることにした。

■石川さんコメント
「主食の炭水化物を選ぶときに選択肢があるのなら、できるだけ精製したものに偏らないことが重要です。お米でたとえると、白米に多く含まれる炭水化物は、胚芽や胚乳に含まれるビタミンB群やマグネシウム(※2)によって発芽の際に栄養源として使われます。植物が成長し、エネルギー消費をするための栄養素が含まれているからです。しかし、白米は精製することによって、胚芽や胚乳に含まれる栄養素を削がれてしまっているので、体内に摂取してもエネルギーとして使われにくくなります。その結果、余ったものが体脂肪として蓄えられやすくなるのです」

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白米から玄米に替えて、さらによく咀嚼して食べるようになった。(撮影/長友佑都)

肌の調子がよくなり、食後の眠気が改善された。

僕が玄米を取り入れるようになったのは、2016年の8月くらいからだったと記憶している。
同じ炭水化物を取り入れるなら、エネルギーに変換されやすいものを選んだ方が断然、有利だからだ。
しかも、玄米の外皮の中には食物繊維が豊富に含まれているので白米よりさらに吸収が穏やかなのだという。ゆっくり吸収されて余すところなく消費できるということは、それだけエネルギーが長続きするということ。持久力が要求されるサイドバックというポジションには、とくにうってつけのエネルギー源といえるのだ。

僕たちのようなアスリートはもちろんのことだが、ビジネスマンにとってもこのメリットは生かせるだろう。できるだけ食べたものの余剰分を出さずにエネルギーを使い切れれば、余分な体脂肪が溜まるリスクは低くなるはずだ。
嬉しいおまけもある。主食を玄米に替えて最初に気づいたのは肌の調子がよくなったこと、食後の眠気やだるさが解消され、一日をすっきり過ごせるようになったことだ。

さて、カラダにいいと頭で分かっていても、玄米に抵抗感を持っている男性は多いという。よく耳にするのは、「ボソボソする」「硬くて食べにくい」という意見。
女性はそれと真逆で、カラダに対する意識が高い人ほど玄米を積極的に取り入れていると聞く。どうやら食に関しては男性の方が保守的なようだ。

さて、僕はといえば、主食を玄米に切り替えてからとくに違和感を感じることはなかった。まずカラダにメリットをもたらすという事実が大きい。今食べているものが有効なエネルギー源になっていくと思うと、それだけでありがたい気持ちになっていったのだ。
味自体も僕の好みに合っていると思う。とくに、少し硬めの炊き上がりにすると、食感がイタリアで食べるリゾットに近く、粒食の食感を存分に味わうことができる。

■石川さんコメント
「消化吸収が悪い玄米は浸水時間を十分に設ける、炊き終わった後に数時間蒸らす、圧力鍋を使って柔らかく炊くといった工夫が必要です。それでも人によってはどうしても受け付けないという場合もあります。何がなんでも玄米がいいというわけではなく、胚芽米や分づき米(玄米と白米の中間、三分づき、五分づき、七分づきなどがある)でもいいでしょう。米だけでなく、パンならライ麦パン、麺なら全粒粉タイプ、シリアルならオールブラン(※3)というように、できるだけ精製された白いものでなく茶色いものを選ぶことがポイントです」

子どもの頃から胃腸があまり丈夫ではなかった僕だが、玄米もよく嚙んで食べることでカラダに負担を感じることはまったくない。
それどころか最近は白米にどこか物足りなさを感じるくらいだ。これもまた、ひとつの「革命」といえるだろう。


※1 外皮や胚芽
米はぬかとなる外皮、芽となる胚芽、本体の胚乳でできている。ビタミンなどの栄養素は外皮や胚芽に豊富。

※2 マグネシウム
ビタミンB群と協働し、細胞のミトコンドリアのエネルギー産生のスイッチを押す重要な栄養素。

※3 オールブラン
小麦ふすまと呼ばれる外皮を主原料としたシリアル。食物繊維を豊富に含む手軽な主食として重宝する。


●ながとも・ゆうと 小学校1年でサッカーを始め、東福岡高校、明治大学を経てFC東京でプロデビュー。2010年イタリアに渡り、現在インテル・ミラノに所属。


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構成/石飛カノ 撮影/中島慶子 監修/石川三知(Office LAC-U)